保険治療のルールあれこれ

歯科に関連する話題
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これはとても悩ましい話題です。

というのも、歯科関係者間でも議論の分かれるところなので、おいそれと口に出来ない事もありますが、あえて今回はこの題材を取り上げたいと思います。

そもそも保険治療とは何なのか

皆様ご存知の通り、日本は国民皆保険制度となっているので、すべての国民が何らかの公的医療保険に加入しているという前提があります。

患者さんは受診する医療機関を自分で選ぶ事が出来るので、受診したい医院が保険医療機関であるかどうか確認して通院されるはずです。

保健医療機関で診療に従事する歯科医師は、基本的に保険医でなければなりません。

歯科医師=保険医ではなく、保険医は自らの意思でなるもので、これは健康保険法第71条に明記されています。保険医は厚生労働省令で定められるところにより、健康保険の診療を行わねばならず、そのルールに従って診療に従事する事となります。

医師、歯科医師はルールを遵守する必要がある

保険診療の基本的ルールとして、健康保険法で規定されている保険診療のルールを熟知し、ルールを遵守しなさいという物があります。

例えば、各種の検査は必要最小限の回数で実施する、厚生労働大臣の定める医薬品以外お薬剤は使用出来ない被せ物や詰め物の材質は部位毎によって定められている、歯列矯正においては厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常または顎変型症の手術の前後の療養に限り保険対象になる・・・など。

決められた枠組み(ルール)を守って保険治療を運用しなければならないと法律で定められており、そこから逸脱した行為は当然ながらアウトなわけです。

歯医者が気を利かせて本来保険で適応されない治療を保険でやってしまうとそれは違法行為なのです。

保険適用外のセラミックを保険で入れるなど当然ダメです。

保険治療の診療報酬改定は定期的にある

また、保険診療の料金は定期的に変わります。

昨今の世界情勢から端を発した物価高騰は歯科の治療に大きな影響を及ぼしており、大げさでは無く一部の治療は逆ザヤ(赤字)となっています。

何せ、金属を多用した治療が歯科はとても多い。

保険診療は日本全国どこでも一律の料金なので、行政の方針で値上げをすれば治療費が上がるし、下げれば治療費も下がります。

診療報酬の改定は定期的にあるので、患者さんからすると「あれ?高くなってね?」「前の医院の方が安かったよなー」と勘違いされる事もよくある訳です。

【意外】こんなルールあったの!?

  • 混合診療禁止

保険診療と自費診療を混ぜこぜにして治療するのはダメというルール。
保険が効かない治療(インプラントとか)の一部を保険で治したりするなどですが、厳密に線引きがある以上、守らないといけません。

  • インプラント実は一部保険が効く

ただしその条件は厳しく(生まれつき顎の骨が1/3以上欠損しているなど)医療機関側も当直設備があるなど定められています。

  • 汚れ落としが目的のクリーニングは保険が効かない

歯のクリーニングを保険でおこなうには、その行為が歯周病などの「治療」が目的でないと保険でおこなう事はできません。

  • 入れ歯は半年間作りかえ出来ない

ただし、歯を抜いて入れ歯自体の形が変わらざるを得なくなった場合は別です。入れ歯の調整も普通に出来るのでご安心ください。

分厚い辞書1冊分のルール

さらに紐解くと、分厚い辞書1冊なみの記事となるので、このあたりで終えますが、色々なルールのもとで厳密に運用されているのが保険診療であるという事は伝わったと思います。

診療明細書を見ても、何がなにやらさっぱりだと思いますが、1つひとつの項目には意味があるので、もし内容を聞きたいという方は担当医にお聞きになるのが良いでしょう。

なにげに、大事な事だと私は思います。

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