
子どもの乳歯が白くなるのはなぜ?

乳歯が白いのは虫歯?

乳歯が白くなったら歯医者に行くべきか知りたい
子どもの乳歯が白くなっているのを見て、「これは虫歯かもしれない」と不安になる方も少なくありません。
乳歯が白くなる原因として、初期虫歯やエナメル質形成不全などが考えられます。
初期虫歯を放置すると痛みが出る可能性があるため、早めに歯科医院を受診することが大切です。
この記事では、以下について解説します。
- 白くなる3つの原因
- 虫歯ができやすい3つの場所
- 歯科医院で受けられる処置
- 【時期別】乳歯をケアのポイント
- 乳歯に関するよくある質問
原因や虫歯ができやすい場所を知ることで、歯のトラブルの予防や早期発見につながるでしょう。
ぜひ、参考にしてください。
乳歯が白くなる3つの原因
乳歯が白くなるのには、以下のような原因が考えられます。
- 初期虫歯
- エナメル質形成不全
- フッ素症
白くなる原因を知り、予防につなげましょう。
1.初期虫歯
乳歯が白く見える場合、初期の虫歯が原因の可能性があります。
これは、歯の表面からカルシウムやリンなどのミネラルが溶け出す「脱灰(だっかい)」が始まっている状態です。

この段階だと、エナメル質の光沢が失われ、白く濁って見えるのが特徴です。
歯の内部までは進行しておらず、痛みやしみるといった自覚症状はほとんどありません。

ただし、脱灰が進むと歯に小さな穴があき、治療が必要です。
2.エナメル質形成不全
エナメル質形成不全とは、歯の表面を覆っているエナメル質がうまく作られず、白い斑点や濁りが出る状態のことです。

エナメル質は、歯の外側にある身体の中で最も硬い組織のひとつです。
この部分が正常に形成されない原因として、以下のことが考えられます。
- 遺伝
- 外傷・感染
- 栄養不足
- 高熱を伴う疾患 など
エナメル質が不完全な歯は、通常の乳歯より弱くなるため、虫歯リスクが高まります。

軽度であれば、フッ素塗布やシーラント処置、重度であれば、レジン充填や銀歯を被せる処置が必要です。
3.フッ素症
フッ素症は、歯が作られている時期にフッ素を過剰に取り込むことで、エナメル質がうまく形成されず、白く濁って見える症状を指します。

歯の発育が進む0〜8歳ごろまでの間に、長期間にわたって多量のフッ素を摂取した場合に起こる可能性があります。
乳歯に現れることは少ないものの、表面に白く濁った部分や、左右対称に白斑が見られる場合は注意が必要です。
多くは軽度で、痛みやかみ合わせなど機能面に問題はありませんが、見た目が気になるときには審美的な処置も可能です。
乳歯で虫歯ができやすい3つの場所
乳歯で虫歯になりやすい場所は以下のとおりです。
- 上顎の前歯・前歯の間
- 奥歯
- 歯と歯茎の境目

虫歯になりやすい場所を把握し、意識してケアするようにしましょう!
1.上顎の前歯・前歯の間
上顎の前歯やその間は、飲み物の与え方によって虫歯ができやすくなります。
とくに、哺乳瓶でミルクやスポーツドリンクなどの甘い飲み物を与えている場合は要注意です。

液体が口の中に長くとどまり、糖分が歯に残りやすくなることで、虫歯リスクが高まります。

さらに、離乳食が始まると、前歯の表面にも食べかすがつきやすくなるため、この頃から丁寧な歯みがきが必要です。
一方、下顎の前歯の裏側には唾液が出る唾液腺があり、虫歯菌が洗い流されやすいので、虫歯になりにくいといわれています。
2.奥歯
奥歯や奥歯の間は、乳歯の虫歯ができやすい場所のひとつです。
奥歯はまわりが見えにくく、歯と歯のすき間も狭いため、歯ブラシが届きにくくなり、汚れがたまりやすくなります。

とくに、奥歯の咬み合わせ部分には深い溝があり、食べかすが残りやすいので注意が必要です。
奥歯を磨くときは、歯ブラシだけでなく、デンタルフロスを併用して、歯の間の汚れを落とすことが大切です。

また、乳歯の奥歯が2本生えそろうと、歯と歯の間に汚れがたまりやすくなるため、そこも意識して歯磨きしましょう。
3.歯と歯茎の境目
子どもの歯茎はやわらかく敏感のため、歯と歯茎の境目を磨くときに痛がる場合が多く、磨き残しが出やすくなります。
また、境目の部分は歯の表面が湾曲していて、汚れがたまりやすい構造になっているのも原因のひとつです。

しっかり磨けていないと、境目に沿って初期虫歯ができることがあります。
このような初期虫歯は、ていねいなブラッシングやフッ素塗布によって、進行を防いだり改善したりできるケースもあります。
歯と歯茎の境目を磨くときは、ヘッドが小さく毛先のやわらかい歯ブラシを使い、境目にやさしく当てて小刻みに動かすのがポイントです。

力を入れすぎず、子どもが嫌がらない範囲でていねいに仕上げ磨きを行いましょう。
乳歯が白いときの歯科医院で行うこと
乳歯が白く見える場合、虫歯の可能性があり、進行具合によって処置が異なります。
- 治療の場合
- 予防ケアの場合
子どもの虫歯は進行が早いため、見た目に違和感があれば、早めに歯科医院を受診することが大切です。
治療の場合
初期虫歯からさらに進行している場合には、状況に応じて、レジン充填(じゅうてん)を行います
レジン充填は、虫歯になった部分を必要最低限だけ削り、歯の色に近い樹脂(レジン)を詰めて補修する治療法です。

健康な歯を削る必要がほとんどないので、歯の強度を保ちながら治療ができるのが特徴です。
ただし、レジンは強度が劣るため欠けやすく、虫歯が大きい場合や噛む力が強い部分には不向きです。

そのような場合は、銀歯での治療を検討します。
予防ケアの場合
乳歯が白く見える場合でも、虫歯が初期段階にとどまっていれば、削らずに以下の方法でケアを行う場合があります。
- フッ素
- MIペースト
- シーラント
初期虫歯のケアとして一般的なのが、フッ素を塗布して歯の再石灰化を促す方法です。

再石灰化とは、虫歯菌によって溶け出した歯のカルシウムやリン酸が再び歯の表面に戻ることを指します。
フッ素には、虫歯菌の働きを弱め、歯を丈夫にする効果があります。
参考:国立保健医療科学院
MIペーストとは、歯に塗布して使用される、次のような口腔ケア製品です。
- 牛乳に含まれるカゼインとミネラルでつくられている
- 歯に塗布すると、必要な栄養成分を補い、再石灰化をサポートする
虫歯が浅いときに使われ、歯を削らないので子どもへの負担が少ないのが特徴です。

ただし、乳製品にアレルギーがある場合は使用できません。
シーラントは、以下のような虫歯を予防するための処置です。
- 乳歯の奥歯の溝をプラスチック樹脂で埋める
- 歯の溝を浅くして汚れをたまりにくくして虫歯を予防する
奥歯がすべて生えそろった3〜4歳頃や、永久歯の奥歯が生える6歳頃に行うと虫歯予防効果が期待できます。
参考:厚生労働省 シーラント(予防法)
乳歯を虫歯にしないために知っておくべき3つのこと

乳歯の虫歯を防ぐにはどうすればいいの?
乳歯の虫歯を進行させないためには、次のような特徴を知っておくことが重要です。
- 虫歯になっても痛みが出にくい
- 乳歯の虫歯は進行が早い
- 口呼吸をすると虫歯になりやすい
日頃から子どもの口に異変がないかチェックし、違和感があったら早めに歯医者に相談しましょう。
1.虫歯になっても痛みが出にくい
子どもは痛みの感覚が十分に発達していないため、虫歯の痛みがあっても感じにくい傾向があります。
穴が開いて食べカスがたまり、歯茎が腫れてから気づくケースも少なくありません。
また、虫歯の痛みは一時的におさまることもあるため、これが発見が遅れる原因にもなります。

子どもは症状を伝えるのが難しいため、周囲の大人が変化に気づくことが重要です。
普段から仕上げ磨きを丁寧に行い、食べ方や口の動きに違和感がないか意識して見る習慣をつけましょう。
2.乳歯の虫歯は進行が早い
乳歯は、永久歯に比べてエナメル質や象牙質が薄く、神経のスペースが大きいという特徴があります。
そのため、虫歯菌の酸によるダメージを受けやすく、虫歯になると短期間で神経まで達するケースも珍しくありません。
また、乳歯のエナメル質は完全に硬くなるまでに2〜4年ほどかかるといわれており、この時期は特に注意が必要です。

初期段階で気づけないと、治療回数が増える分、子どもへの負担も大きくなる可能性があります。
3.口呼吸をすると虫歯になりやすい
子どもに口呼吸の習慣があると、口の中が乾燥しやすくなり、虫歯のリスクが高まります。

これは、口の中が乾くと唾液の分泌量が減少し、唾液による「自浄作用」や「再石灰化」の働きが低下するためです。
就寝中は唾液の量が減るうえ、口が開いているとさらに乾燥が進み、虫歯や口臭の原因になります。
鼻呼吸の習慣化や就寝時に市販の「鼻呼吸テープ」を貼るなどして、無理のない範囲で改善に取り組んでみてください。
【時期別】乳歯をケアする際のポイント
乳歯のケア方法は、月齢や発育の段階によって異なります。
- 生後6ヶ月まで:ガーゼで口の中の汚れをとる
- 生後7ヶ月〜1年:歯ブラシで磨く
- 生後1年〜1年半:1日1回歯を磨く
それぞれの時期に合った方法でケアを行い、口腔トラブルの予防につなげましょう。
1.生後6ヶ月まで:ガーゼで口の中の汚れをとる
まだ歯が生えていないこの時期は、ガーゼを使ってお口の中を清潔に保つことが大切です。
授乳が終わったら、歯みがきガーゼを水でぬらして、歯茎や舌、頬の内側などをやさしく拭き取りましょう。

この時期から口の中にものが入る感覚に慣れておくと、歯ブラシを使い始めたときにもスムーズに移行できます。
歯みがきガーゼは薬局で購入できますが、普通のガーゼを適度な大きさに切って代用できます。
使用するときは、赤ちゃんがガーゼを飲み込まないようにしっかりと持ちましょう。

指をのどの奥まで入れないように注意してください。
2.生後7ヶ月〜1年:歯ブラシで磨く
生後7ヶ月ごろから下の乳歯が生えてきますが、唾液の働きである程度は汚れが洗い流されます。

そのため、まだ歯ブラシでしっかり磨く必要はありません。
生後10ヶ月を過ぎ、上の乳歯が生えてきたら、歯ブラシで丁寧に歯を磨きましょう。
上の乳歯の汚れは唾液による洗浄効果が少ないため、ブラッシングをして食べカスを落とすことが大切です。
また、寝る前の授乳や哺乳瓶で甘い飲み物を飲む習慣は、虫歯の原因になります。

1歳を目安に、少しずつやめるようにしましょう。
3.生後1年〜1年半:1日1回歯を磨く
1歳ごろは、乳歯の前歯が生えそろい、奥歯が生えてくる時期です。
上の前歯や奥歯の溝は虫歯になりやすいため、1日1回は歯ブラシで歯を磨くことが重要です。

歯を磨くときは、親があぐらをかいて座り、子どもをひざに寝かせてブラッシングすると磨きやすくなります。
歯ブラシはヘッドが小さいものを選び、毛先を歯の表面に当てて軽い力で磨きます。

力が強いと子どもが痛がり、歯みがきを嫌がるため注意しましょう。
また、子どもが歯科医院に慣れるためにも、1歳を過ぎたら定期的に歯科健診を受ける習慣をつけるのがおすすめです。
乳歯に関するよくある質問
ここでは、乳歯に関するよくある質問について解説します。
虫歯が進行すると、これから生えてくる永久歯に影響を及ぼす可能性があります。
Q1.乳歯が白く、永久歯が黄色く見えるのはなぜですか?
乳歯と永久歯の色が違うのは、エナメル質の透明度に差があるためです。
- 乳歯:白くて、エナメル質の透明度が低い
- 永久歯:やや黄色く見え、エナメル質の透明度が高い
乳歯のエナメル質は透明度が低く、下にある象牙質が見えません。
一方、永久歯のエナメル質は透明度が高いため、内側にある黄色っぽい象牙質が透けて見えます。

これは異常ではなく自然な違いなので、心配する必要はありません。
Q2.乳歯は抜けるから虫歯になっても放置して大丈夫ですか?
乳歯が虫歯になったら、放置せずに治療をする必要があります。
進行すると痛みや腫れを引き起こし、睡眠や食事がしにくくなるなど、日常生活に支障をきたすことがあるためです。
また、乳歯の下では永久歯の形成が進んでおり、虫歯菌が根っこまで到達すると、永久歯の色や形に悪影響を与える可能性があります。
【まとめ】乳歯が白くなったら歯医者に行って相談しよう!
乳歯が白く見えるのは、初期虫歯やエナメル質形成不全など、さまざまな原因があります。
見た目だけでは判断が難しいため、少しでも気になる変化があれば、早めに歯科医院で診てもらうことが大切です。
白くなった歯が初期虫歯の場合は、フッ素塗布やMIペーストによるケアで、削らずに対応できるケースもあります。

定期的に歯科検診を受診すれば、歯の異常の早期発見や治療ができるのでおすすめです。
乳歯は虫歯の進行が早いため、毎日の歯磨きや食習慣を見直して、虫歯予防をしていきましょう。
乳歯の虫歯や治療について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

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