入れ歯の噛む力

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こんにちは、坂井歯科医院です。

メジャーリーグで長い間活躍されたイチロー選手が引退されましたね。

とても寂しい思いと共に、28年も超一流の現役選手として活躍されたことを心から尊敬します。

なんとイチロー選手は歯を1日5回も磨くそうです!

私はスポーツ観戦が大好きなので、世界で活躍されている一流のアスリートをよく見ますが、歯が綺麗なアスリートはとても多いです。アスリートは歯を大切にしている人が多いというイメージがありますね。

身体を動かすためには栄養を摂取することが重要で、よく噛んで食べる事は全身の健康のために無くてはならない事だなと改めて感じます。十分な力を発揮するためには歯を健康に保ってしっかり噛む事が大切です。

噛むことは栄養を取り入れるだけではなく、様々な健康効果が期待できます。

噛むことで分泌される唾液には歯や歯と歯の間に付着した歯垢や食べカスを洗い流し、唾液中に存在する抗菌作用を持つ成分がお口の中のバイ菌増殖するのを抑制して虫歯や歯周病を防ぐ役割があります。

また、噛むことで脳に酸素や栄養が送られ刺激されるので、脳が活性化し、脳の老化を防ぐことができことで認知症の予防になることも近年の研究で分かってきています。

最近の健康診断ではお腹周りの計測をすることでメタボリックシンドローム、略称メタボといわれる検査もあり思わずお腹を引っ込めたくなりますが、よく噛むことで満腹感を得られ、食べ過ぎることを防ぎ、肥満になりにくいといわれています。

噛むことを毎日当たり前のように出来ていて、食事が楽しいと感じておられる方も多いと思いますが、一方では「噛みにくい」、「噛めない」という方も多くおられます。人は噛むという基本的な動作が制限されてしまうと食事がストレスになり、食事の時間が苦痛に感じてしまうのです。

「噛みにくい」、「噛めない」原因は歯を失う事による結果がほとんどで、歯を失うことは誰しもが起こりえる事です。

歯を失う主な原因は虫歯と歯周病であり、歯周病は年齢とともに悪化して40歳以降急速に歯が失われることが多く、歯を失う原因の一位は「歯周病」と言われています。

歯を失ってしまうと、基本的に失った歯を補う治療が必要になり、その方法としてブリッジ、入れ歯、インプラントがありますが、今回は入れ歯についてお話していきます。

入れ歯といえば歯を数本失った時に使用する部分入れ歯と歯を全て失った時に使用する総入れ歯がありますが、歯の無い部分の粘膜の上にのるピンク色の床に人工の歯を付けたものでできています。

部分入れ歯
総入れ歯

入れ歯はご自身の顎の上に載っているだけなので、歯のない部分の歯肉や粘膜に密着させることで安定させる事は出来ますが、完全に固定されているのではないので噛む力が出ません。

私たちが実際に自分の歯で噛む力がどのくらいあるかというと、人の噛む力はその人の体重程度と言われていて、体重50kgであれば50kgの力で噛むことができると言われています。

入れ歯になると噛む力はおおよそ2割程度になると言われているので、ご自身の歯で噛めている時の状態とは違い、どんなものでも噛むことが難しくなります。

入れ歯でお困りの方の多くは痛くて噛めない、入れ歯が動いて安定しないなどがあり、慣れるまで時間がかかり、自分の歯肉や粘膜に合うようになるまでは何度も調整を繰り返す必要があります。

日本は医療の発達により平均寿命が延びていて、健康大国として世界でもトップクラスの長寿国であり、これはとても素晴らしいことではありますが、今後は健康な状態で長生きをする健康寿命を伸ばしていくことが最も重要になってくると思います。

健康寿命を伸ばすために重要なことは歯とお口の役割であり、よく噛むことが健康寿命を伸ばす近道ではないでしょうか。

歯を失うことで入れ歯になってしまうと噛む力は落ちてしまい、全身の健康に影響がでる恐れがあります。

歯を失わないためには歯を大切にすることであり、毎日の歯磨きや定期的な歯科検診、メンテナンスの受診を忘れず、いつまでもお口の中から健康を保つように心がけていきましょう。

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