歯周病と糖尿病

歯周病について
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こんにちは、香里園にある坂井歯科医院です。

食欲の秋と呼ばれる季節になってきましたが、この時期は食べることがとても楽しいですね!

スーパーに買いものに行くと美味しそうな食材が並んでいて、ついつい買いすぎてしまうこともあり、私はこの時期もお腹が空きたくさん食べてしまいますが、みなさまは食べることはお好きでしょうか?

食べることが嫌いという方はほとんどいらっしゃらないと思いますが、食べることは生きることと繋がっているのはみなさまご承知の通りで、私たちが毎日健康に過ごすために食べることは大切なことです。

食べることがなぜ大切かというと、私たちは食事をすることで栄養を口から取り入れ、栄養素の一部が糖となり血液の流れに乗って栄養をからだに届けてくれている役割をしており、食事をしている時もそうでない時も糖は常に血液中に流れていて、あらゆる臓器や組織を巡っています。

糖は血液中を流れ、様々な細胞に取り込まれていくのですが、糖を細胞に取り込んでくれる役割をしてくれるのがインスリンという膵臓から分泌される蛋白(たんぱく)質性ホルモンで、糖がインスリンにより細胞に取り込まれることによって血液中に糖が溢れることなく、私たちの血液中の糖の濃度(血糖値)は一定の範囲内におさまっています。

インスリンが十分の働きをせずに血液中の糖が細胞に取り込まれず、血液中に糖が増えてしまう病気を糖尿病といい、糖尿病は網膜症や腎症、神経障害などの合併症を引き起こし、心疾患や脳卒中などの動脈硬化の発症や進行に関与することが分かっています。

糖尿病の患者さんの中に歯周病に感染している方が高頻度に見られることから、歯周病が合併症と認識され、糖尿病とお口の中の病気である歯周病は深く関わりがあることが近年の研究で明らかになっています。

今回は歯周病と糖尿病についての関わりについてお話していきますが、歯周病とはお口の中の病気であり、私が恐ろしいと感じる病気のひとつであり、歯周病で悩んでいる患者さんをたくさん見てきました。

歯周病とはバイ菌の感染により引き起こされる炎症性疾患であり、お口の中にはたくさんのバイ菌が住み着いていて、ハブラシが不十分になるとバイ菌が塊になり歯の表面に付着します。

このバイ菌の塊をプラークといい、歯に付着したプラークの中のバイ菌により歯肉が腫れ、歯肉が腫れると歯と歯肉に間に隙間(歯周ポケット)ができ、この歯周ポケットからバイ菌はどんどん歯肉の深いところまで侵入し、歯を支えている骨を溶かしてしまいます。

歯周ポケットの中は酸素が少ない状態でバイ菌が繁殖しやすい環境であるため歯周病はたちまち進行を続け、歯を支えている骨が溶けてしまうと歯がグラグラ動くようになり、最悪歯を抜かなくてはならない状態になることもある恐ろしい病気です。

歯周病により歯肉に炎症が起きると、炎症によって作られた物質サイトカインが歯肉の血管を介して血液に流れ込み、糖をコントロールするインスリンの働きを阻害することで血糖値のコントロールが困難となり糖尿病が悪化してしまいます。

糖尿病になるとからだを守る機能低下やバイ菌に対する抵抗力が弱くなることで歯周病の発症や進行に影響を与え、糖尿病があると歯周病に2倍以上感染しやすくなり、歯周病が重症化しやすくなります。

歯周病があると糖尿病の血糖値コントロールが困難になり、糖尿病があると歯周病が悪化しやすいことが分かっており、歯周病と糖尿病はお互いに悪い影響を与えてしまいます。

近年の研究の結果では歯周病の治療をきちんと行うことで血糖値が改善するということも分かっていますので、歯周病の患者さんはもちろんのこと、糖尿病の患者さんもお口の中を健康に維持することがとても大切です。

歯科医院でブラッシング指導を受け、歯周病の原因となるプラークや歯石を除去し、歯周病治療が一旦終了したあとも定期的にメインテナンスを受診し、チェックとケアを行うことが重要です。

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