
前歯が生えたのに、奥歯がまだ生えてこないのはなぜ?

他の子より歯の生え方が遅いけど大丈夫?

正しい生える順番が知りたい!
子どもの永久歯の生え方で、周りと比べて「うちだけ順番が違う?」と不安になることはありませんか。
永久歯の生える順番や時期には個人差がありますが、生え方の目安もあります。
この記事では以下の点をわかりやすく解説します。
- 永久歯の基本的な生え方と順番
- 順番がずれたときに確認するポイントと考えられるリスク
- 生え変わる時期に欠かせないケア

本記事をご覧いただければ、永久歯の生え方が正常かどうかの判断ができます。
不安を抱えすぎず、歯の成長を見守るヒントになりますよ。
永久歯が生える順番には個人差がある
永久歯の生える順番には一定の傾向がありますが、すべての子どもの歯がその通りに生えるわけではありません。
例えば、最初に生えるのは第一大臼歯(6歳臼歯)とされていますが、下の前歯(下顎中切歯)が先に出てくることもあります。

こうした違いは、体の成長や歯の発育スピードによるもので、異常とは限りません。
ただし、左右で大きくタイミングが異なる場合や、乳歯が抜けてから半年以上、永久歯が生えてこない場合は注意が必要です。
歯が歯ぐきの中に埋まっている「埋伏歯」や、もともと永久歯がない「先天性欠如」の症状も考えられます。
永久歯が生える順番と生える年齢の目安
永久歯が生える順番の目安は、以下のとおりです。
- 【第一大臼歯(6歳臼歯)】6~7歳ごろに生えてくる歯
- 【下あごの中切歯】6~7歳ごろに生えてくる歯
- 【上あごの中切歯】7~8歳ごろに生えてくる歯
- 【下あごの側切歯】7~8歳ごろに生えてくる歯
- 【上あごの側切歯】8~9歳ごろに生えてくる歯
- 【第一小臼歯】9~11歳ごろに生えてくる歯
- 【第二小臼歯】10~12歳ごろに生えてくる歯
- 【犬歯】11~12歳ごろに生えてくる歯
- 【第二大臼歯】12〜14歳ごろに生えてくる歯
- 【第三大臼歯(親知らず)】17歳以降に生える歯

発育には個人差があるため、「順番や年齢がぴったり一致しない=異常」とは限りません。
気になる点がある場合は、必要に応じて歯科医院を受診しましょう。
1.【第一大臼歯(6歳臼歯)】6~7歳ごろに生えてくる歯
第一大臼歯は、6歳前後に最初に生えてくる永久歯です。

「6歳臼歯」とも呼ばれ、歯列の中で前から6番目の位置に生えます。
乳歯のさらに奥に新しく生えてくるため、生え始めに気づきにくいのが特徴です。
上下のかみ合わせの基準を決める重要な役割を果たし、歯並び全体のバランスを決める歯のひとつでもあります。
2.【下あごの中切歯】6~7歳ごろに生える前歯
下の前歯にあたる永久歯で、6~7歳ごろに生え変わります。

乳歯が抜けた同じ位置に生えてくるため、口元の変化をもっとも感じやすい時期です。
この時期に、乳歯が抜ける前に内側から永久歯が顔を出す「二重歯列」になることもあります。

下の前歯でよく起こる現象で、乳歯が抜ければ自然に解消する場合がほとんどです。
3.【上あごの中切歯】7~8歳ごろに生える前歯

上の前歯は、歯列で前から1番目に並ぶ永久歯で、7~8歳ごろに生え変わります。
話したり笑ったりしたときに目立つ位置にあり、表情の印象を左右するため、保護者の方も気になりやすい部位です。
生え始めの段階では、左右の前歯の間にすき間(正中離開)ができることがあります。

多くの場合、隣の歯が生えそろうにつれて自然に閉じていくので、しばらく様子を見ていきましょう。
4.【下あごの側切歯】7~8歳ごろに生える歯
下の前歯の隣に生えてくる歯で、前歯の並びを支える役割があります。

この位置が正しくそろうと、前歯全体のラインが安定し、その後に続く奥歯の配置も整いやすくなります。
ただし、生える角度が斜めになっていると、かみ合わせに影響することがあるため、向きや位置を観察しておくと安心です。

将来の歯並びやかみ合わせの土台を整えるうえで、大切な歯といえるでしょう。
5.【上あごの側切歯】8~9歳ごろに生える歯
上の前歯(中切歯)の隣に生えてくる、小ぶりでやや丸みを帯びた永久歯です。

位置的に目につきやすく、歯列や表情の印象を左右します。

また、側切歯は、スペース不足の影響が現れやすい歯のひとつです。
生え方に傾きやねじれが見られる場合は、将来的な歯並びの乱れを予測するヒントになることがあります。
6.【第一小臼歯】9~11歳ごろに生える歯
第一小臼歯は、前歯から4番目に位置する永久歯で、9~11歳ごろに乳歯の奥歯と入れ替わるように生えてきます。

犬歯と奥歯の中間に並ぶことで、前後の歯の橋渡しのような役割を担います。
見た目はやや小ぶりですが、上下の歯がしっかり噛み合うように位置を調整し、噛む力のバランスを支える歯です。
生えるスペースや角度にずれがあると、歯列全体に影響することもあるため、生え方に問題がないか注意深く見守ることが大切です。
7.【第二小臼歯】10~12歳ごろに生える歯
第二小臼歯は、前歯から5番目に位置し、第一小臼歯のすぐ奥に並ぶ永久歯です。

10〜12歳ごろに生え変わるため、乳歯の奥歯と入れ替わる最後の永久歯にあたります。
奥歯として食べ物をすりつぶす働きに加えて、上下の歯が噛み合うよう高さを調整し、左右のバランスを保つための大切な歯です。

このころには永久歯がほぼそろい、歯列全体の完成が近づいてきます。
8.【犬歯】11~12歳ごろに生える歯
犬歯は、前歯から3番目に位置する永久歯で、尖った形が特徴です。

糸切り歯とも呼ばれ、食べ物を切り裂く強い咬合力を支えるほか、かみ合わせ全体の安定にも関わります。

口元で目立ちやすい位置にあり、歯並びや表情の印象にも影響する重要な歯です。
ただし、犬歯は生える時期が遅めのため、顎のスペースが足りないと外側にズレて八重歯として生えてくることがあります。
八重歯は歯磨きが難しく、汚れがたまりやすいため、虫歯や歯ぐきの炎症につながるおそれがあります。
9.【第二大臼歯】12〜14歳ごろに生える歯
第二大臼歯は、前歯から7番目に位置する永久歯で、12歳臼歯とも呼ばれます。

第一大臼歯(6歳臼歯)のさらに奥に生えてきて、親知らずを除くともっとも後ろに並ぶ奥歯です。
この歯が生えることで上下のかみ合わせが最終的に整い、永久歯列の完成が目前に迫ります。
歯ぐきの中に隠れていたり、溝が深かったりして磨きにくい形をしているため、汚れがたまりやすく虫歯になりやすいのが特徴です。

生え始めの段階から、位置や磨き残しに注意し、清潔な状態を保てるよう見守っていきましょう。
10.【第三大臼歯(親知らず)】17歳以降に生える歯
「親知らず」として知られる第三大臼歯は、永久歯の中でも最後に生えてくる歯です。
17歳以降に生え始めることが多く、人によっては20代や30代になってから出てくることもあります。

生える時期や本数、生え方は個人差が大きく、生えてこないケースも珍しくありません。
また、斜めや横向きに生えてくる埋伏(まいふく)や、歯ぐきの中に完全に埋もれたままの状態になることもあります。

炎症や腫れ、痛みといったトラブルを引き起こす場合は、抜歯が必要になるでしょう。
永久歯の生える順番が違うときに確認すべき3つのポイント
生える順番が違うと感じたときは、以下の点を確認しておくと安心です。
- 残存乳歯のチェック
- 永久歯が生えてくるスペースのチェック
- 乳歯の下に永久歯があるかのチェック
気になる点がひとつでもあれば、早めに歯科医院で相談してみましょう。
1.残存乳歯のチェック
残った乳歯が永久歯の邪魔をすると、正しい位置に生えづらくなります。

とくに前歯や犬歯など、スペースが限られている部分では注意が必要です。
以下のようなサインがあれば、早めに歯科医院で相談しましょう。
- 永久歯が乳歯の裏側から顔を出している
- 乳歯の周囲の歯ぐきが赤く腫れている

適切な時期に乳歯を処置することで、永久歯が本来の位置に生えやすくなります。
2.永久歯が生えてくるスペースのチェック
顎の成長に対して歯が大きすぎる場合、永久歯が生えるための十分なスペースが確保できず、生える順番が異なる原因になります。
歯列が狭い子どもは、永久歯が斜めに出てきたり、ねじれた状態で生えてきたりする場合も。
以下のようなサインに注意しましょう。
- 生えてきた永久歯が極端に斜め、またはねじれている
- 前後の歯と重なって生えている

スペース不足はレントゲンや歯型模型で確認できます。
3.乳歯の下に永久歯があるかのチェック
乳歯がなかなか抜けない、あるいは抜けたのに永久歯が生えてこない場合、永久歯が存在しないことも考えられます。
これは「先天性欠如」と呼ばれ、10人に1人の割合で起こるとされており、決して珍しくない症状です。

永久歯がない場合は外から見てもわからないため、レントゲン検査が欠かせません。

生え変わりで気になる点があれば、無理に様子を見続けず、一度専門家に確認してみると安心です。
永久歯が生えない原因や対処法について詳しく知りたい方は、「永久歯が生えてこない4つの原因|受診の目安や放置するリスクまで徹底解説」の記事もご覧ください。

生え変わりの時期によくある3つのトラブルと対処法
乳歯の生え変わりの時期には、思いがけないトラブルが起こることがあります。
- 乳歯が抜けないまま永久歯が生えてくる|抜歯
- ぐらぐらしている乳歯がなかなか抜けない|抜歯
- 永久歯がなかなか生えてこない|抜歯や開窓牽引

ここでは、よく起こりやすい3つのケースとその対応を解説します。
1.乳歯が抜けないまま永久歯が生えてくる|抜歯
永久歯が乳歯の裏側から顔を出し、「二重歯」のように見えるケースは、下の前歯でよく見られます。
永久歯が正しい位置に動けず、歯列の乱れやかみ合わせのズレにつながる恐れがあるので、放置はNGです。
乳歯がグラグラしていれば自然に抜けることもありますが、グラグラしない場合は抜歯する必要があります。
2.ぐらぐらしている乳歯がなかなか抜けない|抜歯
乳歯が揺れている状態が長く続くと、気になって子どもが舌や指で頻繁に触れ、歯ぐきが傷つくことがあります。

炎症や腫れが起こり痛みや出血につながるケースもあるので、注意が必要です。
通常は自然に抜けるのを待ちますが、3か月以上抜けない状態が続く場合や、噛んだときに痛みがある場合は抜歯が検討されます。

無理に抜こうとせず、状態を確認してもらうためにも、早めに歯科医院を受診してください。
3.永久歯がなかなか生えてこない|抜歯や開窓牽引
乳歯が抜ける気配がない場合は、永久歯の生え方に異常がある可能性があります。
ひとつは、永久歯自体が存在しない「先天性欠如」で、永久歯が初めから形成されていないケースです。

もうひとつは、歯ぐきの中に永久歯が埋まったままになっている「埋伏歯」です。
レントゲン撮影によって、永久歯の有無や位置、向きなどを確認し、原因を特定したうえで今後の治療方針を決めます。

対処法としては、乳歯の抜歯や、歯ぐきを切開して永久歯を引っ張り出す「開窓牽引(かいそうけんいん)」が考えられます。
生え変わりの時期に欠かせない3つの予防ケア
乳歯から永久歯に生え変わるこの時期は、虫歯やトラブルのリスクが高まるタイミングです。
- シーラントで虫歯を予防する
- フッ素塗布で歯を強くする
- 仕上げ磨きで磨き残しを防ぐ
大切な永久歯を健康に育てるために、次の3つのケアを習慣にしましょう。
1.シーラントで虫歯を予防する
生えたばかりの永久歯は奥歯の溝も深いため、汚れがたまりやすい状態です。
シーラントは、あらかじめ溝を樹脂でふさいでむし歯を防ぐ処置で、特に第一大臼歯(6歳臼歯)には効果的です。

6歳臼歯が生えてきたら、永久歯の保護のためにもシーラントをするのがおすすめです。
2.フッ素塗布で歯を強くする
生えたばかりの永久歯はエナメル質が未成熟で、虫歯になりやすい状態です。
この時期にフッ素を定期的に取り入れれば、歯の再石灰化を促し、虫歯への抵抗力を高められます。

ご家庭でのフッ素配合歯みがきに加えて、歯科医院での高濃度フッ素塗布を受けることで、より高い予防効果を期待できます。
3.仕上げ磨きで磨き残しを防ぐ
子どもが自分で歯磨きをするようになっても、手の動かし方や磨く順番にムラがあり、磨き残しが出てきます。

とくに奥歯や歯の裏側、生え始めの永久歯などは磨きにくく、歯垢が溜まりやすくなります。
磨き残しを放置すると、虫歯や歯ぐきの炎症につながる恐れがあるため、仕上げ磨きが欠かせません。

就寝前に必ず、仕上げ磨きを行い、お口の中を清潔に保って健康な歯を育てていきましょう。
永久歯の生える順番に関するよくある質問
Q1.永久歯が生える順番と乳歯が抜ける順番は同じですか?
基本的には、乳歯が抜けた場所に合わせて、ほぼ同じ順番で永久歯が生えてきます。

例えば、下の前歯(中切歯)が抜けたら、その位置に永久歯が生えてくるのが一般的です。
ただし、乳歯の根の吸収が遅れている場合には、永久歯が本来の位置からずれて生えることがあります。

永久歯が内側や外側にずれて「二重歯列(にじゅうしれつ)」になるケースもあります。
中学生ごろまで乳歯が残っているのは珍しくありませんが、以下のような場合は歯科医院を受診しましょう。
- 乳歯に痛みがあるのに抜ける気配がない
- 永久歯が傾いたまま生えている
- 永久歯が見えてきたのに乳歯が抜けない
少しでも気になることがあれば、遠慮なく歯科医に相談してください。
Q2.永久歯が生える順番が違うと、すぐに矯正が必要ですか?
順番がずれて生えたからといって、すぐに矯正治療が必要になるとは限りません。
噛み合わせや歯のスペースに問題がなければ、しばらく様子を見るだけで済むでしょう。
ただし、永久歯が重なって生えたり、ねじれて生えてるなどして、歯並びが乱れている場合には歯科医院の受診を検討してください。

6歳臼歯と上下の前歯(中切歯)が生えそろう7〜8歳ころに、一度歯並びのチェックを受けると安心です。
【まとめ】永久歯の生える順番に違和感があれば歯科医院を受診しよう!
永久歯の生える順番には一般的な目安がありますが、一人ひとりに多少の差が出るのは自然なことです。

順番が少し前後したり、生え方にバラつきがあっても、多くの場合は心配いりません。
ただし、左右で大きな差がある、または乳歯が抜けてから半年以上経っても永久歯が生えてこないときは注意が必要です。

毎日の歯みがきやお口のチェックを通して、小さな変化にも気づけるよう心がけましょう。
坂井歯科でも、乳歯の生え方や歯並びに関するご相談を承っておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
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