
なんで妊娠中に歯が痛くなるの?

歯が痛いときは市販の痛み止めを飲んでも大丈夫?

妊娠中に歯が痛くなったときの対処法が知りたい
妊娠中に歯が痛くなったときに、どうすればよいのかと悩む方も多いのではないでしょうか。
ホルモンバランスの変化やつわりが原因で、妊娠中は歯のトラブルが起きやすくなります。
歯に痛みや違和感があれば、我慢せず早めに歯医者を受診してください。
この記事では、以下の内容を解説します。
- 歯が痛くなる5つの原因
- 妊娠中に起こりやすい3つの歯のトラブル
- 歯が痛いときの3つの対処法
- 妊娠中でも歯医者で受けられる治療と受診時期
- 胎児への影響をおさえるための3つの注意点
- 妊娠中に歯が痛くなるのを防ぐ3つのこと
適切に対処すれば、痛みが緩和するだけでなく、早産や低体重児出産などのリスクを減らせます。
ぜひ、参考にしてくださいね。
妊娠中に歯が痛くなる5つの原因
妊娠中、歯に痛みを感じるのには原因があります。
- 女性ホルモンが増加するから
- 妊娠中はつわりが起こるから
- 唾液の分泌量が減るから
- 免疫力が低下するから
- 食べ物の好みが変わるから
痛みの原因を知り、予防につなげてくださいね。
1.女性ホルモンが増加するから
妊娠中は、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンが増加します。
このホルモンを栄養源とする歯周病菌によって炎症が起きて歯茎が腫れ、押されるような痛みを感じることがあります。

ブラッシング時に出血しやすいときは、妊娠性歯肉炎が疑われ、痛みが慢性化しやすい点も特徴です。
2.妊娠中はつわりが起こるから
つわりによって嘔吐や食欲不振が起こると、口内環境が悪化し、歯が痛くなることがあります。
嘔吐によって逆流した胃酸で歯が溶けることや、歯磨きをする際の吐き気で十分なブラッシングができないことなどが要因です。
酸にさらされたエナメル質は傷みやすく、虫歯リスクも高まります。
さらに、偏った食生活が続くと栄養バランスも乱れ、細菌に対する抵抗力も弱まり、歯の痛みを訴える妊婦さんも増えます。

こうした要因が重なって痛みを感じるため、つわりの時期はとくに注意が必要です。
3.唾液の分泌量が減るから
妊娠中は唾液の分泌量が減少し、粘度も高くなることで口内の自浄作用が弱まります。
唾液には細菌や汚れを洗い流す働きがあるため、量が減ると虫歯菌や歯周病菌が増える原因になります。
妊娠後期はホルモンバランスが変動しやすく、唾液の減少が顕著です。
その結果、歯ぐきの腫れや歯の痛みなどの症状が出やすくなります。
4.免疫力が低下するから
妊娠中は胎児を守るために免疫機能が変化し、母体の免疫力が低下しやすくなります。
免疫力が低下すると、虫歯菌や歯周病菌が活発化するため、歯の痛みを感じやすくなります。
妊娠による体調の変化でストレスが続くと、自律神経が乱れて歯の痛みが慢性化することも。

免疫力の低下は、さまざまな口内トラブルを招くきっかけになります。
5.食べ物の好みが変わるから
妊娠中は甘いものや酸っぱい物を好んで食べるようになり、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。
これらの食べ物には、歯に影響を与える成分が含まれているからです。
たとえば、スイーツには虫歯菌のエサになる糖が含まれているため、菌が増えてしまいます。
また、酸っぱい物を食べると、口の中が酸性に傾きやすくなり、虫歯菌が繁殖します。
栄養バランスの偏った食事は、口内トラブルの原因となるので予防が欠かせません。
妊娠中に起こりやすい3つの歯のトラブル
妊娠中は、口内環境の変化やつわりが原因で歯のトラブルが起こりやすくなります。
- 虫歯・歯周病
- 妊娠性歯痛
- 妊娠性歯肉炎
起こりやすいトラブルを知り、予防や対策に役立ててくださいね。
1.虫歯・歯周病
妊娠中は、唾液の量の変化や食べつわりが原因で口の中が酸性に変わりやすいです。
また、つわりで歯磨きが難しくなる場合もあるため、虫歯になるリスクが高くなります。
さらに、妊娠すると女性ホルモンの分泌が活発になることで、歯周病菌が繁殖しやすくなり、汚れがたまると歯茎に炎症が起こります。

特に体調の変化の大きい時期は、口内ケアができなくなると虫歯や歯周病リスクが高まるので対策が必要です。
2.妊娠性歯痛
妊娠すると、虫歯になっていなくても歯が痛くなる「妊娠性歯痛」になることがあります。
ホルモンバランスの変化で血液量が増え、神経を圧迫することで起こります。
妊娠4ヶ月ごろまでに症状が出やすく、強い歯の痛みを感じるのが特徴です。
ただし、この痛みは一時的な場合が多く、妊娠5〜6ヶ月ごろから少しずつ痛みが消失していきます。
3.妊娠性歯肉炎
妊娠性歯肉炎とは、妊娠中の女性ホルモンの変化が原因で起こる歯茎の炎症です。
妊娠中は女性ホルモン「エストロゲン」が増加することで、特定の歯周病菌が活発になり、歯周病のリスクが上がります。
つわりで歯磨きができなかったり、唾液の量が減ったりして細菌が増えることも原因の一つです。

悪化すると歯周炎になり、軽い炎症でも強い痛みを感じやすくなるので、発症したら早めに治療しましょう!
妊娠中に歯が痛いときの3つの対処法

妊娠中に歯が痛くなったらどうすればいいの?

歯の痛みを和らげる方法を知りたい
妊娠中に歯が痛くなっても焦る必要はありません。妊娠中でもできる3つの対応を紹介します。
- 患部を冷やす
- 歯に詰まった汚れを取り除く
- 歯医者で治療を受ける
痛みを和らげたいときの参考にしてください。

歯の痛みが長く続く場合は、早めに歯医者に行くのがおすすめですよ!
1.患部を冷やす
濡れタオルや冷却シートで痛む部分を冷やすと、一時的に緩和する可能性があります。
妊娠中は血流が盛んになり神経が圧迫されているため、冷やすことで血液の流れを抑えられ、痛みが和らぎます。

歯や歯茎を直接冷やさず、ほっぺた側から濡れタオルや冷却シートで軽くおさえてくださいね!
血行が良くなると痛みが強くなるため、歯が痛いときは湯船に浸かるのは避けましょう。
2.歯に詰まった汚れを取り除く
歯に食べ物が詰まることで、歯茎が痛むことがあります。
その際は、柔らかい歯ブラシやフロスを使って、こまめに汚れを取り除きましょう。
つわりがきつい方は、無理せず刺激の少ない歯磨き粉やうがいで済ませるのも効果的です。
食事のときは、痛む側の歯で食べ物を噛まないようにし、食後は歯を磨き口内を清潔にすることで細菌の増殖を抑えられます。
感染症や痛みが強くなるリスクがあるため、痛む歯や歯茎を指で触らないようにしてください。
3.歯医者で治療を受ける
上記を行っても痛みが取れない場合は、歯医者で適切な治療を受けましょう。
妊娠していても、処置内容や時期によっては、通常どおり治療を受けられる場合もあります。
痛みが強い場合は、応急処置だけでも受けると楽になるため、体調が落ち着いたら相談するのがおすすめです。

歯のトラブルは放置すると悪化する可能性が高いので、違和感があれば悩む前に受診してくださいね。
【我慢しないで!】妊娠中でも歯医者で受けられる治療と受診時期
妊娠中でも受けられる歯科治療と適切な受診時期があります。
- 妊娠中に受けても問題ない治療
- 治療を受けるなら安定期がおすすめ
- 妊娠中は避けるべき治療
受診時期に合わせて、治療を受けるようにしてくださいね。
1.妊娠中に受けても問題ない治療
以下の4つの歯科治療は、妊娠していても受けられます。
- 虫歯治療
- 歯周病治療
- 歯石除去/クリーニング
- 定期検診
妊娠中でも虫歯や歯周病治療を受けても基本的には問題ありません。
むしろ、放置しておくことで悪化する可能性の方が高いため、痛みがある場合は早めの治療を心がけましょう。
定期的に歯石除去やクリーニングを受けて、歯のトラブルを予防することも大切です。

自治体によっては、妊娠中に無料で歯科検診を受けられるため、利用してみてくださいね!
2.治療を受けるなら安定期がおすすめ
歯科治療を受ける場合は、体調が安定してきた妊娠5ヶ月〜7ヶ月がよいとされています。
つわりも落ち着くころのため、診療台に座って治療を受けやすくなるためです。
治療内容によって、レントゲンや麻酔を使用した治療も受けられるので、歯科医と相談しながら進めましょう。

不安な場合は、応急処置など可能な範囲で治療を受け、産後から本格的に始めると安心です。
3.妊娠中は避けるべき治療
次の3つの治療は、妊娠しているときに受けないほうがよいとされています。
- 歯茎の手術
- インプラント
- 抜歯
歯茎の手術やインプラントは、手術で麻酔を使用するため、胎児に影響を及ぼす可能性が懸念されます。
また、抜歯は術後に痛みが出るため、薬の服用が必要になることが多いです。
とはいえ、抜歯しなければならないほど進行した虫歯は、放置すると母体への影響が深刻になる場合もあるため、治療の時期は慎重に検討することが必要です。
可能であれば、出産後に計画的に行うのが望ましいでしょう。
胎児への影響をおさえるための3つの注意点


お腹の赤ちゃんに影響が出るのは絶対避けたい!

家にある痛み止めは飲んでも大丈夫?
歯の痛みに対処するときに、お腹の赤ちゃんへの影響が気になる方も多いのではないでしょうか。
胎児に影響を出さないための3つの注意点を解説します。
- 自己判断で痛み止めを飲まない
- 歯の痛みを放置しない
- 治療を受ける前に妊娠中であることを伝える
用法容量を確認せずに薬を飲んだり、痛みを放置したりすることは、将来的にお腹の赤ちゃんへの影響が出る可能性があります。

自己判断せずに、痛みを感じたら、まずは歯医者に行きましょう!
1.自己判断で痛み止めを飲まない
妊娠中に歯が痛くなった場合は、できるだけ市販の痛み止めではなく、歯医者へ行って薬を処方してもらいましょう。
痛み止めには、胎児の健康に影響を与える成分が含まれている可能性があるため、自己判断で服用するのは避けた方が無難です。
市販でも妊婦が服用できる薬はありますが、痛みの症状に合った成分かどうかは専門知識がないと判断が難しいもの。
それならば、最初から歯医者に行って処方してもらうのが安心です。

どうしても歯の受診が難しい場合は、妊婦でも飲める薬をドラッグストアの薬剤師に聞いておくとよいでしょう。
2.歯の痛みを放置しない
妊娠中はホルモンの変化で歯茎がはれやすく、虫歯や歯周病が進行しやすい状態です。
重度の歯周病は、炎症物質が血流に乗って体内に広がることで、早産や低体重児のリスクを高める可能性があるとされています。
歯の痛みや違和感があれば歯医者に行き、歯科検診も利用して口内トラブルを予防しましょう。
口内トラブルの予防は、母体と胎児の健康を守るためにも重要です。
3.治療を受ける前に妊娠中であることを伝える
歯医者で治療を受ける場合は、妊娠していることを必ず伝えましょう。
とくに妊娠初期や後期は母体が不安定な時期でもあるため、体調面についても遠慮なく相談してください。
安全な痛み止めの処方や、応急処置のみで出産後に本格的な治療を行うなど、柔軟に対応してくれます。

妊娠しているかどうかで治療方針や処方箋が変わるため、事前に妊娠していることを必ず伝えてくださいね!
妊娠中に歯が痛くなるのを防ぐ3つのこと
妊娠中は歯の違和感や痛みを感じやすいですが、防ぐためにできることがあります。
- 普段よりていねいに歯を磨く
- 栄養バランスの良い食事を摂る
- 歯科検診を受ける
歯のトラブルを予防するには、日頃のケアが大切です。

歯医者で妊娠中のケアに関するアドバイスをもらうのもおすすめですよ!
1.普段よりていねいに歯を磨く
妊娠中はホルモンの変化で虫歯や歯周病になりやすいため、しっかりと歯磨きしてください。
食後や就寝前は歯を磨き、口内を清潔に保つ必要があります。
つわりで歯磨きができない場合は、うがいをして口の中の汚れを洗い流すのも効果的です。

歯磨き後にキシリトールガムを噛むことも、唾液の量が増え虫歯予防になるのでおすすめですよ!
妊娠すると口内に細菌が増えやすいため、いつもよりていねいに歯を磨きましょう。
2.栄養バランスの良い食事を摂る
妊娠中は、母体と赤ちゃんの成長に欠かせない栄養素の必要量が増えます。
エネルギーやビタミンなど、さまざまな栄養素を摂取するように心がけましょう。
とくに、カルシウムは歯や骨を強化し、虫歯予防のために重要な栄養です。
リンの摂り過ぎはカルシウムの吸収を阻害するため、即席麺やスナック菓子は控えましょう。
主食・主菜・副菜をバランスよく取り入れ、塩分は控えめにして加工食品の摂取は控えめにするのが望ましいです。
つわりで一度に食べられない場合は、間食を活用して栄養不足を防いでください。
3.歯科検診を受ける
歯科医院で定期的にクリーニングを受け、毎日のブラッシングだけでは落としきれないプラークや歯石を除去してもらいましょう。
あわせて、一人ひとりに合ったブラッシング方法やケアグッズの選び方を指導してもらうと、セルフケアの質もさらに向上します。
特に出産直後は育児に追われ受診が難しくなるため、妊娠中に計画的に検診を受けて口内環境を整えておくことが大切です。

自覚症状がなくても検診を受けることで、虫歯や歯周病の予防につながりますよ!
【まとめ】妊娠中に歯が痛くなったら歯科医院で治療を受けよう
妊娠中に歯が痛くなったら、我慢せず歯医者を受診することが大切です。
ホルモンの変化やつわりが原因で口内トラブルが起こり、歯に痛みを感じやすくなります。
痛みを放置すると胎児の健康に影響を及ぼす可能性があるため、早めに歯医者に行くことが大切です。
妊娠中に治療を受けても問題なく、体調が安定しやすい妊娠5ヶ月〜7ヶ月に受診するのがおすすめです。
歯のトラブルを防ぐためにも、定期的に歯科検診を受けましょう。
妊娠中の歯科治療については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。

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