歯科と栄養管理

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こんにちは、香里園にある坂井歯科医院です。

近畿地方でも今月10日に梅雨入りしたとの発表があり、ジメジメと蒸し暑い日が続きますが、みなさま体調などにお変わりはありませんでしょうか。

私は小さいころからからだが丈夫で大きな病気をしたこともなく、元気に産んで育ててくれた両親に感謝していますし、今後も自分の体調管理をしっかり行っていきたいと思っています。

健康なからだを維持するために必要なことは毎日の食事だと身にしみて感じているのですが、なぜかと言いますとひとり暮らしをしていた時は食事を簡単なものやインスタントに頼ってしまっていて1日3食しっかりと食べていてエネルギー量であるカロリーは足りているものの、必要の栄養素が足りておらず風邪をひいて、体調を崩してしまうことが多かったのです。

現在ではバランスの良い食事をすることで免疫力が高まり、私は滅多に風邪をひくことはなく、未だにインフルエンザにもかかったこともないくらい健康で元気な毎日を過ごすことができています。

バランスの良い食事で栄養素を取り入れることはからだを健康にするだけでなく丈夫な歯を作ることとも繋がっていて、ヒトのからだは日々の食事で形成されていて必要な栄養素が不足すると様々な疾患の原因になりますが、お口の中も例外ではなく不足している栄養素を補うことでお口の中の病気の改善や予防ができるのです。

お口の中の病気は大きく分けると歯周病と虫歯、噛み合わせがありますが、その中でも歯周病は成人の約8割がかかっていると言われていて、歯を失う原因の多くは歯周病であり恐ろしい病気です。

坂井歯科医院でも歯周病で困っている患者さんはたくさんいて、残念ながら歯を失ってしまう患者さんも少なくはなく、歯を失ってから歯の大切さに気づきもっと歯を大切にしておけばよかったと多くの患者さんから何度も聞きました。

歯周病は歯垢(プラーク)というバイ菌の塊が歯と歯肉の間の溝に溜まり、このバイ菌が繁殖することで歯肉が炎症を起こしますが、この歯垢を放っておくと歯垢が固まり歯石となり、歯石は歯周ポケットの奥深くまで侵入していき、歯を支えている骨である歯槽骨を溶かし、最悪の場合歯が抜けてしまいます。

歯が抜けてしまうと噛みづらくなってしまい噛む力が衰え、食べられる物に偏りが出たり、食事量が減少したりして、十分な栄養が摂れなくなり栄養不足になってしまいます。

歯周病予防に最も大切な栄養素はタンパク質であり、歯肉などの歯を支えている周りの組織の多くはコラーゲンで構成されていて、コラーゲン繊維を増やすことが歯周病予防に繋がるのですが、コラーゲンはタンパク質の一種なのです。

からだを構成するタンパク質の約30パーセントがコラーゲンであり、コラーゲンには細胞と細胞を繋ぎ合わせる接着剤のような役割があり、歯の周りの組織を構成し、柔軟かつ丈夫にしてくれるのです。

この役割を果たすために必要な栄養素がビタミンCと鉄で、このふたつの栄養素が不足していると接着剤の役割をうまく果たすことができないので、タンパク質、ビタミンC、鉄を摂取することで歯の周りの組織の歯肉や歯槽骨の健康が維持され、歯周病の予防、改善に繋がるのです。

歯周病と大きな関わりがある疾患のひとつに糖尿病がありますが、歯周病は感染病であり歯周病の原因となる歯周病菌は腫れた歯肉から血管内から侵入し全身に回りますが、歯周病菌からは毒素が産生され血糖値に悪影響を及ぼすのです。

歯周病菌から産生された毒素によりインスリンの抵抗性が上がり血糖コントロールが悪化してしまうことが近年の研究で明らかになっていて、歯周病と糖尿病は一見異なる病気ですが、相互に深く関係しているのです。

糖尿病があると歯周病が進行しやすく、歯周病が糖尿病の血糖管理に影響を与えるので、歯周病をきちんと治療することで糖尿病も改善することも報告されています。

糖尿病の基本的な治療は食事療法であり、必要のエネルギー量以上を摂らないようにして膵臓への負担を軽減し、最も大切なことは栄養をバランス良く摂ることです。

歯周病と糖尿病には深く関わりがあり、歯周病治療をきちんと行うこと、毎日の食生活を見直し必要な栄養素をバランス良く摂取することで歯周病も糖尿病も予防、改善することができるのです。

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