
妊娠中に歯医者に行っても大丈夫なの?

虫歯になってしまったけど、妊婦が歯科治療を受けても大丈夫?

歯医者で治療してもお腹の赤ちゃんに影響はないか知りたい
歯に痛みや違和感を感じても、妊娠中に歯医者へいくべきか悩む方も多いでしょう。
妊娠中はホルモンバランスの変化で虫歯や歯周病になりやすく、発症した場合は出産前に治療しておく必要があります。
放置すると、胎児の健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、早めに歯医者を受診しましょう。
この記事では、以下の内容を解説します。
- 妊娠中に起こりやすい歯のトラブル
- 歯医者で治療を済ませておくべき理由
- 胎児への影響が懸念されやすい治療
- 【実はOK】胎児への影響が懸念されやすい3つの治療と安心な理由
- 妊娠中の歯のケアで意識するポイント
胎児への影響が懸念されやすい治療や、妊娠中に歯医者へ行く際の注意点を紹介します。
治療を受けることで、早産や低体重児出産のリスクが減り、赤ちゃんの健康維持にもつながります。
ぜひ、参考にしてくださいね。
妊娠中に起こりやすい歯の5つのトラブル
妊娠中は口内環境が変わりやすく、歯のトラブルが起きやすくなります。
- 虫歯
- 妊娠性歯周炎
- 妊娠性エプーリス
- 智歯(ちし)周囲炎
- 歯のぐらつきや痛み
起こりやすいトラブルを知り、予防に役立ててくださいね。
1.虫歯
体調不良で歯磨きができないことがあるため、妊娠中は虫歯になりやすい傾向があります。
妊娠すると唾液が酸性になり、虫歯菌の酸を中和しにくくなるからです。
また、食べづわりによって、食事の回数が増える、虫歯ができやすくなるケースもあります。

体調が安定しているときに、しっかりと歯を磨くことが大切ですよ!
2.妊娠性歯周炎
妊娠性歯周炎とは、妊娠によるホルモンバランスの変化や、つわりによる食事回数の増加などで起こる歯周炎のことです。
女性ホルモンの「エストロゲン」と「プロゲステロン」の分泌が増えることで、発症すると考えられています。
上下の前歯の歯茎に発症するケースが多いですが、奥歯にできる方もいます。
そのため、普段より丁寧な歯磨きに加え、妊婦歯科検診を受けることが必要です。
気になる腫れや出血があれば、歯科医師へ相談してくださいね。
3.妊娠性エプーリス
妊娠性エプーリスとは、妊娠中のホルモン変化で歯ぐきの一部が赤く盛り上がる良性の腫れのことです。
ホルモン量がピークになる妊娠中期に発症しやすく、頻度は約0.5〜1.2%ほど。
前歯の歯ぐきなどの目立つ場所に、豆粒ほどのドーム状のふくらみとして現れることが多いですが、大半は出産後に自然に消失します。

残ってしまった場合は、ごくまれに治療で切除を検討することがあります。
4.智歯(ちし)周囲炎
智歯周囲炎とは、親知らずの周りの歯茎に炎症が起こる病気のことです。
親知らずがまっすぐに生えないことで、歯と歯の間にすき間ができ、汚れがたまりやすくなることが原因です。
特に、妊娠中はホルモンバランスの変化で歯周炎になりやすいので、発症しやすいと考えられています。
智歯周囲炎を防ぐためには、しっかりと歯を磨き、口内を清潔にすることが大切です。
5.歯のぐらつきや痛み
妊娠中は、歯のぐらつきや、痛みがでやすくなります。
出産のため骨盤が緩んでくると、歯と顎の骨をつなぐ靭帯もゆるむからです。
ホルモンバランスの変化で歯の神経が充血し、圧迫されて痛みを感じることもあります。
ぐらつきは妊娠8ヶ月、痛みは5ヶ月ごろまでに発症するケースが多いものの、出産後に自然に収まるケースがほとんどです。

気になる症状が続くときは、歯科医院で診てもらうと安心です!
妊娠中に歯医者で受けられる治療と避けるべき治療
妊娠中に歯医者で受けても問題ない治療には、次の3つがあります。
- 虫歯治療
- 歯周病治療
- 歯石除去・クリーニング

虫歯と歯周病治療は妊娠5〜7ヶ月、歯石除去・クリーニングは妊娠直後から7ヶ月まで可能です!
一方、次の3つの治療は、妊娠中は避けるのが無難です。
- 矯正治療
- インプラント
- ホワイトニング
妊娠するとお口の中の環境が変化するため、矯正治療の際は注意が必要です。
もし始めるなら、出産後に行いましょう。
矯正治療中に妊娠が発覚した場合、なるべく安定期に集中して通院してください。
また、インプラントは麻酔を伴う手術が必要なので、出血するリスクもあります。
ホワイトニングは、使用する薬剤が胎児に影響を及ぼす可能性があります。
【放置しないで】妊娠中に歯医者で治療を済ませておくべき3つの理由
妊娠しているからといって、歯のトラブルを放置してはいけません。妊娠中に歯の治療を済ませておくべき理由は以下の3つです。
- 早産や低体重児出産のリスクが上がるから
- 出産後に赤ちゃんが虫歯になってしまうから
- 歯医者に行く時間が取りにくくなるから
虫歯を放置することで、お腹の赤ちゃんの健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

赤ちゃんを守るためにも、歯の痛みや違和感があれば治療を受けてくださいね!
1.早産や低体重児出産のリスクが上がるから
虫歯や歯周病を放置すると、早産や低体重児を出産する確率が上がります。
口内の細菌が血液や羊水へ入り込むと、出産を促す化学物質が過剰に分泌され、子宮が早めに収縮してしまうのためです。
リスクを確実に抑える方法は、妊婦歯科健診で虫歯・歯周病を早期に治療し、進行を防ぐこと。
歯医者でクリーニングを受けるのも、予防に効果的です。
2.出産後に赤ちゃんが虫歯になってしまうから
赤ちゃんの口に虫歯菌は存在しませんが、大人の唾液から感染するケースがあります。
口移しで食べ物を与えたり、食器を共有したりすることで、虫歯菌がうつってしまうからです。
出産前に虫歯を治療することで、赤ちゃんに感染するリスクを下げられます。

母親だけでなく、家族の中で虫歯がある人は、生まれる前に治療しておくと安心ですよ!
3.歯医者に行く時間が取りにくくなるから
産後は授乳やおむつ替え、夜泣きの対応などで24時間赤ちゃん優先になります。
まとまった外出時間を確保しにくく、「自分の治療はあとで」と先延ばしにしがちです。
しかし、放置した虫歯は進行するだけでなく、大人の唾液を通じて赤ちゃんに菌がうつるリスクも高まります。

妊娠中に虫歯が見つかったら、体調を考慮して早めに治療を受けましょう!
【実はOK】胎児への影響が懸念されやすい3つの治療と安心な理由

歯医者で受ける治療って、お腹の赤ちゃんに影響しない?

妊婦でも安心して受けられる治療はある?
このように、歯科治療がお腹の赤ちゃんに影響はないか不安に感じていないでしょうか。胎児への影響が懸念されやすい3つの治療について解説します。
- 麻酔
- レントゲン
- 薬
基本的に、妊娠中に歯科治療を受けても胎児に影響はありません。

歯に痛みや違和感を感じたら、放置せずに歯科医院へ行きましょう!
1.麻酔
安定期であれば、妊娠中でも麻酔を使う治療を受けても問題ないといわれています。
歯の治療で使用する麻酔は、局所麻酔で薬も少量のためです。
さらに、注射した部分で薬剤が分解され、麻酔成分が胎盤へは届かないため、胎児への影響はないとされています。
ただし、赤ちゃんの身体が作られる妊娠初期は、麻酔が必要な処置は避けるのが一般的です。

局所麻酔でかゆみや蕁麻疹などのアレルギー反応を起こしたり、気分が悪くなったりしたことがある場合は必ず伝えましょう!
2.レントゲン
歯科で撮影するレントゲンは、映す範囲があご周辺に限られています。
撮影時には鉛入りの防護エプロンでお腹を覆うため、赤ちゃんにX線が届く心配はほとんどありません。
また、歯科用のレントゲンは、従来のレントゲンの4〜10分の1程度のX線量のため、胎児に影響はないとされています。

一般的な歯科医院では、妊娠中であってもレントゲン撮影が必要であれば行われます。
3.薬
医療機関で妊婦向けに処方される薬は、安全性が確認された鎮痛薬や抗生物質に限られるため、安心して服用できます。
妊婦が受けられる治療が限られるため、使用する薬も限定され、特殊な成分を処方されることはありません。
事前に体質や妊娠週数を確実に伝えれば、ママにも赤ちゃんにも最適な薬を選んでもらえます。

処方された薬は自己判断で増減・中断せず、指示どおり服用しましょう!
【時期別】妊娠中に歯医者で治療を受けるときの注意点
妊娠中に歯医者で治療を受ける場合、時期により以下のような注意点があります。
- 【妊娠初期:1〜4ヶ月目】治療を極力避ける時期
- 【妊娠中期:5〜7ヶ月目】歯科治療に最適な時期
- 【妊娠後期:8〜10ヶ月目】可能であれば避ける時期
妊娠の時期に合わせて、適切に治療を受けるようにしてくださいね。
【妊娠初期:1〜4ヶ月目】治療を極力避ける時期
妊娠初期は、胎児の重要な器官が形成される大切な時期で、母体の体調も安定しにくいため歯科治療は極力避けましょう。
つわりが大変な時期でもあり、治療中に気分が悪くなる可能性があります。

痛みがある場合も応急処置のみにして、治療の時期をずらすとよいでしょう!
【妊娠中期:5〜7ヶ月目】歯科治療に最適な時期
妊娠中期は、つわりが収まり体調が安定しやすいため、歯科治療を受けるのに適した時期です。
この時期には、以下のような治療を済ませておくと安心です。
- 虫歯・歯周病治療
- 抜歯
- 歯科検診
ただし、体調に不安がある場合は無理をせず、応急処置だけ行い、細かい治療は産後に回す選択肢もあります。

受診前に妊娠週数や体調を伝え、最適なスケジュールを歯科医と相談しましょう!
【妊娠後期:8〜10ヶ月目】可能であれば避ける時期
妊娠後期は、お腹が大きくなり長時間同じ姿勢を保つことが難しくなるため、歯科治療は避けた方がいいでしょう。
子宮が背中の静脈を圧迫し血圧が急に下がる可能性もあります。ったり、治療中のストレスが母体のリスクを高めたりする可能性があります。
ストレスは母体にとって大敵のため、歯に強い痛みや腫れがある場合は、体調によって臨機応変な対応になります。

根本的な治療は、出産後に改めて行うのが基本です。
妊娠中の歯のケアで意識する5つのポイント
虫歯や歯肉炎を防ぐためには、日頃のケアが大切です。
- 歯の磨き方を工夫する
- 食後に口をすすぐ
- キシリトールガムやフッ素を活用する
- 歯科検診を定期的に受ける
- 規則正しい生活を心がける
毎日のケアで歯のトラブルを予防しましょう。

妊娠中に歯のケアで悩んだ場合は、歯医者に相談してアドバイスをもらうのがおすすめですよ!
1.歯の磨き方を工夫する
歯ブラシを口の奥まで入れると気持ち悪くなる場合は、下を向いて磨くのがおすすめです。

下を向くことで、喉の奥に唾液が流れるのを防げます!
また、歯ブラシのヘッドが大きいと吐き気を感じやすいため、ヘッドが小さいものを使うと気持ち悪くなるのを防げます。
つわりで体調が悪い場合は、歯磨き粉を使わないことで、気分が悪くならずに磨ける可能性があります。

歯磨きの仕方を工夫して、口内環境を清潔に保つようにしましょう!
2.食後に口をすすぐ
つわりで歯磨きができない場合は、食後に水やお茶で口をすすぐのもよいでしょう。
とくに緑茶には抗菌作用があるカテキンが含まれており、洗浄作用があるためおすすめです。
気分が悪く歯を磨けないときは、食後に口をすすぐだけでも口内の汚れを落とせます。
また、デンタルリンス(液体ハミガキ)を使うことで、虫歯や歯周病を予防する効果が期待できます。
ただし、ゆすぐだけではきれいにできないため、体調が良くなったらしっかりと歯磨きをしてください。
3.キシリトールガムやフッ素を活用する
虫歯予防には、キシリトールガムやフッ素を活用するのも良い方法です。
キシリトールは虫歯菌が出す酸を抑え、かむことで唾液が増えるため歯周病も防げます。
また、歯医者でフッ素をぬってもらうとエナメル質が強くなり、歯質を強化できます。
妊娠中でも簡単にできるケアなので、ぜひ取り入れてくださいね。
4.歯科検診を定期的に受ける
妊娠中は口内トラブルが起きやすいため、定期的に歯科検診を受けましょう。
受診すると歯科医にアドバイスをもらえるため、自分に合うケアの方法がわかります。
また、歯のクリーニングで歯石を除去してもらうと、歯磨きで取れない汚れを落とせ、虫歯や歯周病を防げます。
妊娠中だけでなく出産後もトラブルが起きやすいため、出産後も検診を受けることが重要です。

子育てで忙しくなりますが、歯の健康のためにも、定期的に歯科検診を受けるようにしてみてください!
5.規則正しい生活を心がける
規則正しい生活をすることで、ストレスが解消され、免疫力の向上が期待できます。
妊娠すると免疫力が低下するため、口内の細菌に対する抵抗力が低下している状態です。
しかし、免疫力を維持すれば、虫歯や歯周病を発症しにくくなります。
また、妊娠中は空腹を感じやすくなりますが、甘いものを食べ過ぎず栄養バランスの良い食事をすることが大切です。

口内トラブルを防ぐためにも、生活リズムを整えるようにしましょう!
【まとめ】妊娠中はしっかり口内ケアをしてトラブルを防ごう
妊娠中は、免疫力の低下やホルモンバランスの変化により、口内トラブルが起きやすくなります。
虫歯や歯周病を放置すると、早産や低体重児出産のリスクがあるため、安定期に治療を済ませることが大切です。
麻酔やレントゲンは胎児にほぼ影響がないとされており、妊娠中に歯医者へ行っても問題ありません。
口内トラブルを防ぐためには、キシリトールガムやフッ素を活用したり、定期的に歯科検診を受けたりするのがおすすめです。
出産後に赤ちゃんへ虫歯をうつさないためにも、日頃からのケアを徹底しましょう。
坂井歯科は治療だけでなく、口内環境の改善のために管理栄養士がアドバイスやサポートをしています。
妊娠中の歯のトラブルや気になることがあれば、ぜひご相談ください。
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