妊娠中に歯医者に行くべき3つの理由|治療の安全性と週数別の目安を解説

妊娠中 歯医者 妊娠前後の歯科治療
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妊娠中に歯医者に行っても大丈夫なの?

虫歯になってしまったけど、妊婦が歯科治療を受けても大丈夫?

歯医者で治療してもお腹の赤ちゃんに影響はないか知りたい

妊娠中でも歯に痛みや違和感が現れたら、歯医者の受診をおすすめします。

妊娠中はホルモンバランスの変化で虫歯や歯周病になりやすく、放置すると症状が悪化するため、出産前に治療しておきましょう。

この記事では、以下の内容を解説します。

  • 妊娠中に歯医者に行くべき理由
  • 【いつ行くべき?】妊娠中の歯科治療|初期・中期・後期の違い
  • 妊娠中の歯科治療で気になる3つの不安
  • 妊娠中に自宅でできるオーラルケア4つのポイント

治療を受けることで、早産や低体重児出産のリスクが減り、赤ちゃんの健康維持につながる可能性があります。

ぜひ、参考にしてくださいね。

妊娠中に歯科医院に行くべき3つの理由

妊娠中に起こりやすい歯のトラブル

妊娠しているからといって、歯のトラブルを放置してはいけません。

妊娠中に歯の治療を済ませておくべき理由は以下の3つです。

  1. 妊娠中は歯のトラブルが起こりやすい
  2. 虫歯や歯周病で早産のリスクが高まる
  3. 出産後は歯医者に通院する時間が取りにくい

起こりやすいトラブルを知り、予防に役立ててくださいね。

1.妊娠中は歯のトラブルが起こりやすい

妊娠中は口内環境が変わりやすく、以下のような歯のトラブルが起こりやすいです。

<虫歯>
唾液の働きが弱まり、虫歯菌の酸を中和しにくくなります。
さらに、食べづわりで食事の回数が増えると口の中が酸性になりやすく、虫歯ができやすいです

<歯周病>
妊娠によるホルモンバランスの変化で歯茎が腫れやすく、炎症が悪化しやすい時期です。
妊婦さんが発症しやすい妊娠性歯肉炎もその一つで、歯茎の腫れや出血が起こりやすいです。

<親知らずの炎症>
親知らずの周囲は磨き残しが多く、妊娠中は歯茎が腫れやすいため、炎症が起こりやすい状態です。

腫れや痛みが我慢できない場合、無理せず歯科医院に相談しましょう。

2.虫歯や歯周病で早産のリスクが高まる

虫歯や歯周病を放置すると、早産や低体重児を出産するリスクが高まるという報告があります。

口内の細菌が血液や羊水へ入り込むと、出産を促す化学物質が過剰に分泌され、出産が早まる可能性があると考えられています。

リスクを抑えるには、以下の対策がおすすめです。

  1. 妊婦歯科健診を受けて、お口の中の状態をチェックする
  2. 虫歯や歯周病が見つかった場合は、できるだけ早く治療する
  3. 定期的に歯のクリーニングを受ける

妊娠中の口腔ケアは、歯のためだけでなく、全身の健康や出産にも関わる大切な習慣です。

妊婦健診と合わせて、お口の健康チェックも忘れずに行いましょう。

参考元:厚生労働省 妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会(3)妊産婦の口腔健康管理について

3.出産後は歯医者に通院する時間が取りにくい

産後は授乳やおむつ替え、夜泣きの対応などで、赤ちゃん優先の生活になります。

まとまった外出時間を確保しにくく、「自分の治療はあとで」と先延ばしにしがちです。

しかし、放置した虫歯は進行するだけでなく、大人の唾液を通じて赤ちゃんに菌がうつる可能性もあります。

妊娠中に虫歯が見つかったら、体調を考慮しつつ早めに治療を受けておくと安心です。

【いつ行くべき?】妊娠中の歯科治療|初期・中期・後期の違い

妊娠中に歯医者で受けられる治療と避けるべき治療

妊娠中の歯科治療は、時期によって以下のような違いがあります。

  • 妊娠初期(1〜4ヶ月)|胎児の成長期なので応急処置に中心
  • 妊娠中期(5〜7ヶ月)|安定期で治療に最も適した時期
  • 妊娠後期(8〜10ヶ月)|臨月は応急処置にとどめる

妊娠の時期に合わせて、適切に治療を受けるようにしてくださいね!

妊娠初期(1〜4ヶ月)|胎児の成長期なので応急処置が中心

妊娠1〜4ヶ月ごろは、胎児の重要な器官が形成される時期です。

つわりによってお母さんの体調も安定しにくいため、歯科治療はできるだけ避けましょう。

虫歯があっても痛みがない場合は、妊娠5ヶ月以降の安定期に入ってから治療をするのが一般的です。

痛みがある場合は応急処置を中心に行い、必要に応じて治療の時期を調整しましょう。

妊娠中期(5〜7ヶ月)|安定期で治療に最も適した時期

妊娠5〜7ヶ月ごろは、つわりが収まり体調が安定しやすいため、歯科治療を受けるのに適した時期です。

この時期は、以下を済ませておきましょう。

  • 虫歯・歯周病治療
  • 抜歯
  • 歯科検診

ただし、体調に不安がある場合は無理をせず、応急処置だけ行い、細かい治療は産後に回す選択肢もあります。

受診前に妊娠週数や体調を伝え、治療を行う時期や通院回数などを歯科医と相談しましょう!

妊娠後期(8〜10ヶ月)|臨月は応急処置にとどめる

妊娠後期は、お腹が大きくなり長時間同じ姿勢を保つことが難しくなるため、歯科治療は控えるのが望ましい時期です。

仰向けの姿勢は苦しさを感じやすく、体への負担も大きくなります。

また、子宮が背中の静脈を圧迫することで、「仰臥位低血圧症候群(ぎょうがいていけつあつしょうこうぐん)」が起こる場合もあります。

発症すると、治療中のストレスにより血圧が変動したり、気分が悪くなったりするので注意が必要です。

妊娠後期に強い痛みや腫れがある場合は、体調に合わせて応急処置を受け、根本的な治療は出産後に改めましょう。

妊娠中の歯科治療で気になる3つの不安

妊娠中に歯医者で治療を済ませておくべき理由

歯医者で受ける治療って、お腹の赤ちゃんに影響しない?

妊婦でも安心して受けられる治療はある?

このように、歯科治療がお腹の赤ちゃんに影響はないか不安に感じていないでしょうか。

胎児への影響が懸念されやすい3つの治療について解説します。

  1. 麻酔
  2. レントゲン

これらの治療や検査は、基本的に安全性が確認されている場合が多く、妊娠中でも受けられるとされています。

以下で、それぞれ詳しく解説します。

1.レントゲン

歯科で撮影するレントゲンは、映す範囲があご周辺に限られています。

撮影時には鉛入りの防護エプロンでお腹を覆うため、赤ちゃんにX線が届く心配はほとんどありません。

また、歯科用のレントゲンの被ばく量は約0.01ミリシーベルトで、一般的な医科用CTの100分の1程度とされています。

日本人が1年間に自然界から受ける放射線量約1.5ミリシーベルトと比べても、ごくわずかな量です。

妊娠中でも、必要であればレントゲン撮影が受けられると覚えておきましょう。

参考:国立研究開発法人 国立成育医療研究センター デンタルレントゲン撮影検査・パノラマレントゲン撮影検査

妊娠中の歯科レントゲンについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

妊娠中にレントゲン撮影しても大丈夫!安心して受けるための3つのポイントも紹介
歯科レントゲンの放射線量は非常に少なく、胎児への影響はほとんどないため、妊娠中でも問題なく受けられます。 この記事では、レントゲンでわかることや、よくある質問について紹介します。妊娠中のレントゲン撮影が不安な方は、参考にしてみてください。

2.麻酔

5〜7ヶ月の安定期であれば、妊娠中でも麻酔を使う治療を受けても問題ないといわれています。

歯の治療で使用する麻酔は、局所麻酔で薬の量もごく少量です。

注射した部分で薬剤が分解され、麻酔成分が胎盤へは届かないため、胎児への影響はないとされています。

ただし、赤ちゃんの身体が作られる妊娠初期は、麻酔が必要な処置は避けるのが一般的です。

また、局所麻酔でかゆみや蕁麻疹などのアレルギー反応を起こしたり、気分が悪くなったりしたことがある場合は必ず伝えましょう。

参考:妊産婦および授乳期における歯科治療と薬物療法 5.妊産婦への投薬 ③局所麻酔薬

妊娠中の歯科麻酔の影響について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

妊娠中に歯医者で麻酔しても大丈夫?治療するときの8つのポイントを解説
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3.薬の服用

妊娠中に処方される薬は、安全性が確認された鎮痛薬や抗生物質に限られるため、安心して服用できます。

妊婦が受けられる治療が限られるため、特殊な成分の薬が処方されることはありません。

処方された薬は自己判断で増減・中断せず、指示どおり服用しましょう。

不安な場合は遠慮せず、歯科医に相談すると安心です。

参考:国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 授乳中に安全に使用できると考えられる薬 – 50音順 –

妊娠中に自宅でできるオーラルケア4つのポイント

妊娠中の歯のケアで意識するポイント

妊娠中の虫歯や歯肉炎を防ぐためには、日頃のセルフケアが大切です。

  1. キシリトールガムやフッ素を活用する
  2. 吐き気があるときは歯磨きを工夫する
  3. うがいをこまめに行う
  4. だらだら食べをしない

毎日のケアで歯のトラブルを予防しましょう。

妊娠中に歯のケアで悩んだ場合は、歯医者に相談してアドバイスをもらってくださいね。

1.キシリトールガムやフッ素を活用する

虫歯予防には、キシリトールガムやフッ素を活用するのも良い方法です。

キシリトールは虫歯菌が出す酸を抑え、かむことで唾液が増えるため歯周病も防げます。

また、歯医者でフッ素をぬってもらうと歯の表面が強化され、酸に溶けにくくなるため、虫歯予防になります。

妊娠中でも取り入れやすいケアなので、ぜひ取り入れてくださいね。

2.吐き気があるときは歯磨きを工夫する

つわりがある場合、歯磨きをすると吐き気をもよおすことがあります。

その場合、以下のような工夫をしてみましょう。

歯ブラシを口の奥まで入れず、下を向いて磨く
唾液が喉に流れにくくなり、吐き気を抑えやすくなります。

ヘッドの小さい歯ブラシを使う
口の中での違和感が少なくなり、磨きやすくなります。

歯磨き粉を使わないで磨く
香りや泡立ちが刺激にならず、気分が悪くなりにくいです。

体調が悪いときは、無理に丁寧に磨こうとせず、できる範囲でケアしましょう。

3.うがいをこまめに行う

つわりで歯磨きができない場合は、うがいで口の中を清潔に保ちましょう

すすぐだけでも、食べかすや酸を減らす効果があります。

おすすめの方法は、以下のとおりです。

  • 水で口をすすぐ
  • 緑茶でうがいする
  • デンタルリンスを使う

緑茶には抗菌作用があるカテキンが含まれており、洗浄作用があるためおすすめです。

ただし、ゆすぐだけではきれいにできないため、体調が良くなったらしっかり歯磨きをしましょう。

4.だらだら食べをしない

妊娠中は唾液の分泌量が減り、口の中が酸性に傾きやすいため、だらだら食べをすると虫歯リスクが上がります。

妊娠後期になると子宮が大きくなり、胃が圧迫されることで一度に多く食べられなくなり、食事の回数が増えることがあります。

食べづわりの影響で、こまめに食べる人も少なくありません。

また、妊娠中は甘いものや酸っぱいものを好む傾向があり、口の中が酸性に傾くことで虫歯のリスクがさらに高まります。

空腹を感じやすい時期ではありますが、甘いものを控えめにし、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。

食後は、歯磨きやうがいをして口の中を清潔に保つことも大切です。

【まとめ】妊娠中はしっかり口内ケアをしてトラブルを防ごう

妊娠中は、免疫力の低下やホルモンバランスの変化により、口内トラブルが起きやすくなります。

虫歯や歯周病を放置すると、早産や低体重児出産のリスクがあるため、安定期に治療を済ませることが大切です。

麻酔やレントゲンは胎児にほぼ影響がないとされており、妊娠中に歯医者へ行っても問題ありません

口内トラブルを防ぐためには、キシリトールガムやフッ素を活用したり、定期的に歯科検診を受けたりするのがおすすめです。

出産後に赤ちゃんへ虫歯菌をうつさないためにも、日頃からのケアを徹底しましょう。

坂井歯科は治療だけでなく、口内環境の改善のために管理栄養士がアドバイスやサポートをしています。

妊娠中の歯のトラブルや気になることがあれば、ぜひご相談ください。

寝屋川市 香里園の歯医者|坂井歯科医院
寝屋川市香里園の歯科・歯医者の坂井歯科医院は夜21時まで(木・土は18時まで)診療。香里園駅から徒歩3分。お電話やWEBからご予約随時可能です。一般歯科、小児歯科、矯正歯科、その他インプラントやホワイトニングにも対応。笑気麻酔や静脈内鎮静麻...

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