ロシア産パラジウム

パラジウム歯科に関連する話題
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こんにちは、香里園にある坂井歯科医院の今道です。

ここ最近、テレビをつけると本当にこの時代の映像であるのか疑うほど悲惨な状況が目に入ってきます。

私は戦争を知らない時代に生まれて戦争について学校で学んだのですが、こんなにも痛ましく悲しい戦争は絶対に起こしてはいけないと思っていましたし、まさか起こりうるとも思っていませんでした。

ロシア軍のウクライナ侵攻が続いていて小さい子どもから大人までたくさんの人が亡くなっていて、これ以上大切な命が奪われないよう1日でも早くこの戦争が終わることを心から祈っています。

戦争の影響は甚大

ここから少し話が変わりますが、ウクライナ情勢の緊迫やロシアへの厳しい制裁を背景に私たちの生活にも大きな影響が出ています。

ロシアは天然ガスの輸出量が世界1位、原油の輸出量は世界2位と資源大国であり、そのためガソリン価格の上昇が続いていて1リットルあたりの全国平均小売価格は8週連続で値上がりし、2008年以来13年5ヶ月ぶりの高値となりました。

店頭平均レギュラーガソリン価格163円

2022年3月23日のレギュラーガソリンの全国平均店頭価格は163円です。

今後も燃料価格の高騰が私たちの生活に影響してくるのは必至であり、ガソリンとともに値上げが見込まれるのは電気やガスの料金で、大手電力会社10社のうち7社が4月に電気料金を値上げすることを発表しています。

さらに、岸田文雄首相は高騰するエネルギー価格を背景に「石油やガスの使用を少しでも減らす努力を」と国民に対してエネルギー利用を控えるように呼びかけています。

2022年になってから値上げのラッシュが続いていて、もうすでに値上げされているものもありますが、今後値上がりすることが決まっているものもあり、私たちの生活に必要なものが値上がりすることは非常に辛いことです。

歯医者の治療にも大きな影響が

実は値上がりに関して歯科医院でも大きな影響を受けていて、それは何かと申しますとみなさんのお口の中にある「銀歯」です。

金銀パラジウム合金、俗に言う「銀歯」

歯科治療で使用されている銀歯は12%金銀パラジウム合金という合金が原料で日本の歯科治療によく用いられていて、みなさんのお口の中に入っている銀歯のほとんどが12%金銀合金パラジウム(12%は金の含有量)だと思われます。

12%金銀パラジウム合金を使用する銀歯はプラスチックには敵わない耐久性があり、歯科技工士による高度な精密鋳造技術によりひとつひとつ手作業の完全オーダーメイドで作成されています。

パラジウムを含むレアメタルの異常高騰

パラジウムの値段は坂井秀明院長が開業したときから比べると10倍以上にもなっていて2016年から5年ほどで4倍になるなど近年パラジウムが異常高騰しています。

パラジウムの産出量は全世界の4割をロシアが占めているため、今回のロシア軍のウクライナ侵攻による情勢悪化に連動してさらなる高騰が懸念されています。

厚生労働省により健康保険の材料費の価格改定の見直しが3ヶ月に1度行われているのですが、現段階でパラジウムの値段は過去最高になっているので今後保険点数も高くなり患者さんに負担していただく費用も上がってしまうことが予想されます。

今後「銀歯」はどうなるか

患者さんの負担が大きくなることは心苦しいのですが、それ以上に恐れていることはロシアからパラジウムの供給がされなくなった場合です。

今後、歯科治療で使用される銀歯はどのようになっていくかということです。

もちろん今後の世界情勢にもよりますが、ロシアからパラジウムが供給されず歯科医院や歯科技工所に現在あるパラジウムの在庫がなくなった場合は他の金属(チタン合金や銀合金)や材質で対応せざるを得なくなるのではないかと考えています。

ただし、チタンクラウンは「硬すぎる」、銀合金は「金属アレルギー」「歯を削る量が増える」「耐腐食が良くない」など、なかなかデメリット多いです。

他には金属を使用しない方法として被せ物の場合はCAD/CAM冠というハイブリットクラウンを使用したり、詰め物の場合はプラスチックを使用したりする治療方法もあります。

すでに現時点でパラジウムの使用を制限している歯科医院もあると聞いていますので、当院だけでなく危機感を持っている歯科医院は多いのではないでしょうか。

12%金銀パラジウム合金を使用した治療は、診療報酬より経費の方が高い「逆ザヤ」となっている事は業界内では周知の事実。

どんな状況になったとしても坂井歯科医院としては患者さんのお口に合った最善の治療を行っていきたいと考えていますし、患者さんのお口の健康が脅かされることがないよう努力いたします。

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