
痛みのある親知らず…放置しても大丈夫かな?

親知らずの抜歯が怖くて踏み出せない

親知らずは抜歯しないとどんなリスクがあるの?
親知らずに痛みや違和感を覚えながら、なかなか歯科医院に足が向かない方は少なくありません。
親知らずは生え方によって放置が長くなるほど、さまざまなリスクが高まります。
痛みや腫れなどの違和感があったら、そのままにせず、歯科医院を受診することが大切です。
本記事では、放置するリスクやそのままにしてはいけないサイン、相談で伝えるべきポイントなどを解説します。
最後まで読むと、放置によって起こりうるリスクが具体的に理解でき、今すぐ受診すべきかどうか判断するきっかけになりますよ。
ぜひ参考にしてください。
放置しないで!「痛みが引いたから大丈夫」は危険サイン

親知らずの痛みが引いても、原因が解決したわけではありません。
「痛みがなくなったから、もう大丈夫かな」と感じる方も多いですが、実は歯ぐきの中で虫歯や炎症が静かに進行しているケースがあります。
特に、横向きや斜めに生えている親知らずは、トラブルが起こりやすいので注意が必要です。
放置すると、お口の中だけでなく、全身にまで影響が広がることもあります。

正しい判断をするためにも、まずは親知らずを放置するリスクを理解しておきましょう。
親知らずを放置する5つのリスク

親知らずをそのままにすると、周囲の歯にも悪影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、親知らずを放置するリスクを5つ紹介します。
- 虫歯や歯周病になりやすい
- 隣の歯にも悪影響を及ぼす
- 歯並びが悪くなる
- 急性智歯周囲炎になる可能性がある
- 全身症状につながる可能性がある
これらのリスクは、放置する期間が長くなるほど悪化しやすく、気づいたときには大がかりな治療が必要になるケースも珍しくありません。
まずは一つひとつ確認しておきましょう。
1.虫歯や歯周病になりやすい

親知らずを放置すると、虫歯や歯周病になる可能性が高くなります。
最も奥に生えているので、歯ブラシで磨きにくく、汚れがたまりやすくなることが理由です。
真っすぐに生えていなかったり歯ぐきに覆われていたりすると、どれだけ丁寧に磨いても汚れは落としきれません。
一時的に痛みや腫れが落ち着いても、汚れがたまりやすい環境は変わっていないため、症状が出たり引いたりを繰り返すたびに悪化していく可能性があります。
2.隣の歯にも悪影響を及ぼす

斜めに生えた親知らずは、隣の歯との間にすき間ができやすく、食べかすや汚れがたまりやすい環境を作ります。
特に注意が必要なのは、歯根吸収です。
親知らずが隣の歯を圧迫し続けると、歯の根が少しずつ溶けていきます。
自覚症状が乏しいまま進行するケースが多く、気づいたときには歯がぐらつき、隣の歯まで抜歯が必要になることもあります。

放置する期間が長いほど吸収は進むため、症状がなくても定期的な確認が必要です。
3.歯並びが悪くなる

横向きや斜めに生えた親知らずが隣の歯を押し続けると、前歯の歯並びが崩れたり、噛み合わせが悪くなったりすることがあります。
噛み合わせや歯並びの乱れによって、顎の関節や筋肉に負担がかかり、顎関節症を引き起こすケースもあります。

顎関節症とは、顎の関節や周囲の筋肉の痛みや口が開きにくくなる状態です。
顎は大きな筋肉に支えられており、太い神経も通っているため、肩こりや頭痛など、お口以外の不調につながるケースもあります。
4.急性智歯周囲炎になる可能性がある

親知らずの違和感を放置していると、ある日突然激しい痛みに襲われる方もいます。
これを急性智歯周囲炎といい、以下の症状が現れます。
- 急激な痛み
- 腫れ
- 発熱
- 口の開けにくさ
急性智歯周囲炎の発症は、ストレスや体調不良などで免疫力が低下し、細菌が活発になることが原因のひとつです。
進行すると、食べ物を飲み込みにくくなったり、顔が大きく腫れたりします。
生活に影響が出る可能性があるため、違和感のある段階で受診しておくと、症状の悪化を防ぐことにつながります。
5.全身症状につながる可能性がある

智歯周囲炎のような親知らずの炎症をそのままにすると、全身にも悪影響を及ぼします。
炎症が長期間続くと、炎症が顔や首回りに広がり、蜂窩織炎(ほうかしきえん)になるケースもあります。
蜂窩織炎は皮膚の深い組織に細菌が感染し、赤みや腫れ、熱感を引き起こす症状です。
重症になると、呼吸困難になり、命に関わる事態を招くこともあるため、決して軽視できません。
初期段階で適切な処置を受ければ、こうした重篤な状態に至るのはまれです。

「まだ大丈夫」と問題を先延ばしにせず、早めに解決することが大切です。
親知らずを長く放置すると抜歯が難しくなる2つの理由

親知らずを放置することで生じるのは、リスクだけではありません。
長期間そのままにしておくと、抜くのが難しくなることがあります。
その理由は以下のとおりです。
- 歯と骨が癒着しやすくなるため
- 麻酔が効きにくくなったり腫れやすくなったりするため
抜歯が必要になったときにスムーズに対応できるよう、歯科医師と事前に話し合っておきましょう。
1.歯と骨が癒着しやすくなるため

親知らずを放置すると、歯と周囲の骨が直接くっつく骨癒着(アンキローシス)が起こりやすくなります。
加齢とともに、歯の根の外側にある歯根膜(しこんまく)というクッション組織が薄くなることが理由です。
20代前半は骨癒着が起こりにくく抜歯しやすいですが、年齢が上がると、親知らずが周囲の骨と強く癒着します。
症状がなく抜歯を後回しにして何年も放置すると、気づいたときには、癒着により抜きにくい状態になっている可能性があります。
2.炎症があると麻酔が効きにくくなるため

親知らずが炎症で腫れている場合、すぐに抜歯ができないことがあります。
炎症があると患部の血流が増加して麻酔の成分が流れやすくなり、十分に効果が発揮できなくなるためです。
もし、痛みや腫れが現れてから慌てて歯科医院を受診しても、当日抜歯できないケースは少なくありません。
この場合、炎症を抑える治療を行い、状態が落ち着いてから改めて抜歯の予定を組むことになるでしょう。
親知らずを放置してはいけないサイン

ここまで、放置するリスクと抜歯が難しくなる理由を説明してきました。
では、実際に「自分の場合はどうなの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
まずは、親知らずに以下に該当するものがないかの確認が必要です。
- 痛みや腫れの症状がある
- 横向きや斜めに生えている
- 片側だけに親知らずが生えている
- 顎に嚢胞(のうほう)がある

定期的に歯科医院で親知らずの状態を確認し、抜歯の必要性を判断するのがおすすめです。
1.痛みや腫れの症状がある

親知らずに痛みや腫れがある場合は、虫歯や歯肉炎などのトラブルがあるサインです。
一度炎症を起こした親知らずは同じ症状を繰り返すケースが多く、放置するたびに悪化しやすくなります。
進行した場合、発熱や顎の骨が溶けるリスクもあります。
炎症が起きている間は抜歯が難しいため、まずは抗生物質や痛み止めの服用、患部の洗浄などで状態を落ち着かせることが必要です。
2.横や斜めに生えている

親知らずが横向きや斜めに生えている場合は、自覚症状がなくても受診をおすすめします。
横向きや斜めに生えているかどうかは、鏡で口の中を確認しても判断しにくいケースがほとんどです。
「奥歯が押されている気がする」「奥歯の後ろの歯ぐきが盛り上がっている」など、違和感があれば、レントゲンで確認してみましょう。
レントゲンを撮ると生え方や角度が正確に把握でき、抜歯が必要かどうかを歯科医師が判断できます。

まずは検診だけでも構わないので、気になる方は相談してみましょう。
3.片側だけに親知らずが生えている

親知らずは上下の右側と左側の合計4本ですが、人によっては片側しか生えてこないことも珍しくありません。
噛み合う歯がないと、親知らずは少しずつ伸び続け、反対側の歯ぐきに当たったり、噛み合わせが悪くなったりします。
親知らずの生え方によっては、頬の粘膜が傷ついてしまい、口内炎ができやすくなります。
噛み合う歯がない親知らずは残すメリットが少ないため、抜歯の検討が必要です。
4.顎に嚢胞(のうほう)がある

親知らずの周りは、含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)になりやすい傾向があります。
含歯性嚢胞とは、親知らずの周囲に液体がたまり、袋状のものができる症状のことです。
強い症状は出ないことが多いですが、放置すると、大きくなって顎の骨を溶かす恐れがあります。
そのため、含歯性嚢胞がある場合は、親知らずの抜歯が必要です。

このような症状は自分では発見しにくいため、定期的にレントゲンで確認しておくことが大切です。
親知らずの相談で歯科医に伝えておくべき3つのポイント

歯科医院を受診する際、親知らずの現状を詳しく伝えることで、より適切な処置が受けられます。
ここでは、歯科医に伝えるべきことを3つ紹介します。
- 痛みや腫れが出た時期と経過
- 持病や服用中の薬の有無
- 日常生活への影響や不安・疑問点
抜歯後に慌てないためにも、不安や疑問点は治療を受ける前に解決しておきましょう。
1.痛みや腫れが出た時期と経過

歯科医師が親知らずの状態を正確に把握するためには、症状の詳細を伝えることが大切です。
例えば、以下の点を具体的に伝えましょう。
- 症状が出ている具体的な場所
- 痛みが出ている期間
- 腫れの有無
- 痛みの程度
伝え漏れを防ぐためにも、受診前に症状が出た時期をメモしておくのがおすすめです。
2.持病や服用中の薬の有無

親知らずを抜歯する際、持病や服用中の薬がある場合は、事前に歯科医に共有してください。
薬の種類によっては、治療に悪影響を及ぼす恐れがあるためです。
例えば、血をサラサラにする抗凝固薬を服用している方は、抜歯後に血が止まらなくなるリスクがあります。
糖尿病の方は、抜歯後の傷の治りが遅くなるケースも考えられます。
安全に治療を行うためにも、持病や服用中の薬があれば、必ず伝えましょう。

お薬手帳があると、薬の名前や用量が正確にわかりますよ。
3.日常生活への影響や不安・疑問点

親知らずの抜歯前は、不安や疑問を解消しておきましょう。
以下は、日常生活にも関わるポイントです。
- 腫れや痛みはどのくらい続くのか
- 仕事や学校を休む必要はあるのか
- 食事や入浴はいつから通常通りできるのか
疑問点を解消しておけば、親知らずを抜いた後の行動をイメージしやすくなります。

親知らずの状態や体質によっても回復期間は異なるので、不安なことは治療前に伝えておくと良いでしょう。
親知らずに関するよくある質問
1.親知らずの痛みはいつまで続くの?

炎症で親知らずが痛む場合は、1週間ほどで一旦引くケースが多いです。
しかし、痛みが引いたからといって、虫歯や歯周病などが治ったわけではありません。
そのまま放置すると悪化し、腫れや発熱などの症状が出る恐れがあります。
痛みが1週間以上続く場合や顔の腫れ、口が開きにくいなどの症状があれば、すぐに歯科医院を受診してください。
2.親知らずを抜くとどのくらい痛いの?

親知らずの抜歯は、生え方によって痛みや腫れの程度が異なります。
親知らずが比較的真っすぐ生えている場合は、多少腫れますが、ほとんど痛みを感じない方が多いです。
しかし、横向きや斜めに生えている場合は骨を削る必要があり、痛みが強くなる傾向があります。
通常、上の親知らずは痛みや腫れが少ないですが、下は腫れや痛みが強くなる可能性が高いです。
下の親知らずの抜歯後の腫れや痛みは、抜歯翌日から1週間ほど続くとされています。
年齢によっても異なり、20代のうちは骨が柔らかいので痛みが少ないと考えられます。
痛そうで怖いと感じる方も多いですが、麻酔がしっかり効いていれば抜歯の痛みはほとんどありません。

不安なことは遠慮なく、歯科医に相談してみましょう。
3.親知らずを抜いている人はどのくらいいるの?

親知らずの抜歯は、決して珍しいことではありません。
米国の約2,600万人を対象とした研究では、25歳までに約半数が親知らずを抜歯しています。
60歳までには、抜歯している人は約70%に達することが報告されています。
ただし、親知らずを抜くかどうかは、生え方や症状によって人それぞれ異なるケースが多いです。

レントゲンで自分の親知らずの状態を確認してみるところから始めてみましょう。
参考:frontiers|米国における民間医療保険加入患者における親知らず抜歯の累積発生率の推定値
親知らずは放置せず早めに歯科医に相談しよう!

親知らずに痛みや腫れなどの症状があるときはもちろん、症状がない場合でも、生え方によってトラブルが起こるリスクがあります。
違和感がなくなっても、根本的に解決したわけではなく、虫歯や炎症は完治していません。
「怖い」「忙しい」と先延ばしにしたくなる気持ちはわかりますが、放置するほど状況は悪くなり、すぐに抜歯するのが難しくなります。

まずは、自分の親知らずがどんな状態なのかを確認してみましょう。
坂井歯科では、虫歯や歯周病を防ぐための「予防歯科」に力を入れております。
歯の状態を確認することで、トラブルの早期発見や治療が可能です。
親知らずに関して気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

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