
親知らずは生えてきたら抜いたほうがいい?

親知らずはみんな抜歯しているの?

痛みもないのに抜くのは怖い、でも放置していいのかな
親知らずは必ずしも抜歯が必要ではなく、生え方や状態によって抜かなくても問題ないケースもあります。
もちろん、抜歯を勧められた場合はそれなりの理由があるため、自分の親知らずの状態を正しく把握することが大切です。
この記事では、親知らずを抜くケースと抜かないケースをはじめ、抜歯する・しないリスクなどを解説します。
最後まで読むと、本当に抜くべきかを判断できる基準がわかりますよ。
ぜひご覧ください。
親知らずは必ず抜くべきなの?抜かない人の割合はどのくらい?

親知らずは「生えたら抜くもの」と思っている方もいますが、実はそうではありません。
アメリカのスタンフォード大学の調査では、60歳までに親知らずを抜歯する人は約70%という結果が出ています。

つまり、約3割の人が親知らずを抜かずに残しているということです。
実際、予防目的で抜かれた親知らずの約3分の2は、抜く必要がなかったと報告されています。
埋まっていても自然に生えてくるケースや、問題なく一生過ごせるケースも少なくないためです。
もちろん歯科医師が抜歯を勧めるのには、その人の状態に応じた理由があります。
大切なのは、「抜歯を勧められたから抜く」でも「怖いから抜かない」ではなく、親知らずの生え方や周囲への影響を正しく把握することです。
参考:frontiers|米国における民間医療保険加入患者における親知らず抜歯の累積発生率の推定値 National Library of Medicine|第三大臼歯の予防的抜歯:公衆衛生上の危険
親知らずを抜くべき4つのケース

親知らずは生え方や状態によって、周囲に悪影響を及ぼすことがあります。
以下のケースに当てはまる場合、抜歯を検討したほうがいいでしょう。
- 斜めや横向きに生えている場合
- 虫歯になっている場合
- 周囲が腫れている場合
- 歯列矯正を検討している場合
それぞれのケースで、なぜ抜歯が必要なのかを詳しく解説します。
1.斜めや横向きに生えている場合

斜めや横向きなど、他の歯と異なる生え方の場合、抜歯を検討したほうがよいでしょう。
このような生え方だと、隣の歯との間にすき間ができ、歯ブラシの毛先が届きません。
食べかすや歯垢などの汚れがたまり、口内トラブルが起きやすくなります。
放置すると虫歯や歯周病のリスクが上がるだけではなく、隣の歯を横から押し続けるため、歯並びが崩れていきます。
「前歯が以前に比べて重なってきた」という変化も、親知らずが原因のケースも珍しくありません。

痛みや腫れがなくても、じわじわと周りにも影響が及んでいる可能性があります。
2.虫歯になっている場合

親知らずは一番奥に生えており、歯ブラシが磨きにくく虫歯になりやすい歯です。
仮に治療しても、磨きにくい環境は変わりません。
治療後も汚れがたまり続けるため、虫歯が再発するリスクは高いままです。
「治療してはまた虫歯になる」というサイクルに陥りやすい点に注意しなければいけません。
長い目で見て口全体の健康を守るためにも、再発を繰り返すようであれば抜歯を検討した方がよいでしょう。
3.周囲が腫れている場合

親知らずのまわりが繰り返し腫れる場合、抜歯を検討すべきタイミングです。
この状態は智歯周囲炎と呼ばれ、親知らずの周りに細菌がたまって炎症を起こしています。
一度治まっても細菌が残りやすいため、くり返し炎症を起こすケースが多いです。
さらに悪化すると、顔が大きく腫れたり、物が飲み込みにくくなったり、発熱や倦怠感などの症状が現れます。
放置すれば、仕事や食事など日常生活にも影響が出てくるでしょう。
4.歯列矯正を検討している場合

歯列矯正をする場合、親知らずの状態によって治療前に抜歯が必要になるケースがあります。
親知らずが残っていると、矯正の効果が十分に発揮されなくなるためです。
以下で、親知らずを残すと起こり得る矯正治療でリスクを説明します。
後戻りリスク
矯正中・矯正後も、斜めや横向きに生えた親知らずは前の歯を押し続けます。
せっかく整えた歯並びが親知らずの影響で再び崩れるのです。
これを後戻りといい、矯正が完了しても、親知らずが残っているとこのリスクが高くなります。
スペースの問題
矯正では奥歯を後方へ移動させてスペースを確保することがありますが、親知らずがあると移動できる距離が狭くなります。
その結果、歯を理想の位置まで動かせず、きれいな歯並びに近づけないケースがあります。
矯正して手に入れたきれいな歯並びを維持するためにも、親知らずを残すリスクを理解し抜歯を検討しましょう。
親知らずを抜かなくていい3つのケース

親知らずの抜歯は、全員が必要になるとは限りません。
ここでは、抜かなくても問題ないケースを3つ紹介します。
- 正常に生えている場合
- 完全に埋まっている場合
- 親知らずを治療で使う場合
自分がどのケースに当てはまるか、確認していきましょう。
1.真っすぐ生えている場合

親知らずが真っすぐ生えており、噛み合わせも問題なければ無理に抜く必要はありません。
一番奥に生えている親知らずは、フロスや歯間ブラシがしにくい歯です。
ただ、真っすぐに生えていれば、斜めや横向きに生えている場合より汚れが溜まりにくく、丁寧に磨けば清潔を維持しやすくなります。
虫歯や歯周病のトラブルがなく、隣の歯を押したり歯並びに影響を与えたりしなければ、残すのもひとつの選択肢です。
2.完全に埋まっている場合

親知らずが骨の中に完全に埋まっている場合は、そのままでも良いと考えられます。
深く埋まっていれば、口の中に露出していないため、汚れもたまりません。
さらに、虫歯になったり周囲の歯に悪影響を及ぼしたりするリスクが低いでしょう。
仮に、深く埋まっている親知らずを無理に抜歯しようとすると、処置の際に下顎の神経に接触して感覚麻痺を起こす恐れがあります。

そのため、抜かないほうがリスクを回避できます。
ただし、親知らずが動いて周囲の歯に影響を与えるケースも珍しくありません。
定期的に歯科医院でレントゲンをとり、確認してもらうことが大切です。
3.親知らずを治療で使う場合

今後の治療で親知らずを活用する可能性がある場合、抜歯せずに残しておいたほうが良いでしょう。
隣接する歯が虫歯や歯周病になり抜歯が必要になった際、親知らずを治療に使うことが可能です。
義歯のバネをかけたり、ブリッジの支台にしたりできます。
歯は一度抜いたら元に戻せないからこそ、将来活用できる可能性があるなら残しておく価値はあります。
親知らずを抜歯しない5つのリスク

ここまで抜かなくてよいケースを見てきましたが、放置するとリスクが生じるのも事実です。
ここでは、親知らずを抜かないと起こりうるリスクを5つ紹介します。
- 腫れや痛みが生じる可能性がある
- 隣の歯の虫歯や歯周病のリスクが上がる
- 顎の骨のダメージにつながる場合がある
- 年齢が上がると抜きにくくなる
- 妊娠中に痛む可能性がある
ほかの歯に影響が及ぶのを防ぐためにも、抜歯しないとどうなるのかを知っておきましょう。
1.腫れや痛みが生じる可能性がある

斜めや横向きの親知らずは磨きにくく、汚れを落としにくいため、細菌がたまりやすいです。
細菌に感染することで、歯茎に腫れや痛みなどの症状が現れるリスクがあります。
一時的に症状が治まっても、細菌が残っている限り再発リスクは消えないでしょう。
放置すればするほど、炎症が慢性化する可能性があります。

腫れや痛みを繰り返している場合、体が抜いてほしいというサインを出しているのかもしれません。
2.隣の歯の虫歯や歯周病のリスクが上がる

親知らずの放置で特に怖いのは、隣の歯まで虫歯や歯周病になるリスクです。
斜めや横向きに生えた親知らずとの間にはすき間ができ、歯ブラシの毛先が届きません。
そこに汚れがたまり続けると、隣の歯の根元から静かに虫歯が進行していきます。
毎日丁寧にケアしていても、構造上どうしても届かない場所の汚れは落とせないのです。
自覚症状がないまま進行するケースも多く、気づいたときには重症化していた、ということも珍しくありません。
親知らずを放置することで、健康な隣の歯まで失うリスクがあることを覚えておきましょう。
親知らずをそのままにすると現れる症状は、「親知らずを放置するとどうなる?歯科医が教える5つのリスクと受診すべきサイン」でも解説していますのでご覧ください。

3.顎の骨のダメージにつながる場合がある

歯ぐきの中に親知らずが埋まったままだと、周囲に嚢胞(のうほう)と呼ばれる袋状の組織ができることがあります。
嚢胞は放置すると徐々に大きくなり、やがて周囲の骨を内側から溶かしていきます。
怖いのは、自覚症状がほとんどない点です。
痛みも違和感もないまま静かに進行するため、レントゲンを撮って初めて発覚するケースも少なくありません。

気づいたときには、顎の骨や隣接する歯の根が吸収されている可能性があります。
4.年齢が上がると抜きにくくなる

親知らずを抜くなら、早めに検討したほうがいいでしょう。
年齢を重ねるほど、抜歯の難易度が上がりやすくなるためです。
骨は年齢とともに硬くなり、親知らずと骨が癒着する傾向があります。
20代前半は骨が柔らかく、歯根も完成しきっていないため、比較的スムーズに抜歯できることが多いです。

一方、高齢になって、高血圧や糖尿病などの基礎疾患が現れた場合、抜歯の処置が難しくなるリスクもあります。
例えば、高血圧の場合は歯を抜いた後に出血が止まりにくい可能性があります。
症状がないからといって抜歯を先送りすると、いざ抜こうと思ったときに抜けない、という状況になるかもしれません。
5.妊娠中に痛む可能性がある

妊娠中は、ホルモンバランスの変化や免疫力が低下するため、歯ぐきに痛みや腫れが生じやすくなります。
細菌に対する抵抗力も弱くなり、智歯周囲炎になりやすい点に注意が必要です。
本来であれば治療できますが、妊娠中は母体の安全を考慮して、抜歯や投薬に制限がかかることがあります。
炎症を放置すると、血流によって全身に細菌が広がり、早産や低体重児出産のリスクが上がるという報告もあります。

妊娠を望んでいる方は、お腹の赤ちゃんへの影響を防ぐためにも、妊娠前に親知らずの状態を確認しておきましょう。
妊娠中のレントゲン撮影が心配な方は、「妊娠中にレントゲン撮影しても大丈夫!安心して受けるための3つのポイントも紹介」で安心して受けるポイントを解説していますのでご覧ください。

親知らずを抜歯する3つのリスク

抜かないリスクを知ると「早く抜いた方がいいのかも」と感じる方もいるかもしれません。
ただ、抜歯にも一時的なリスクが伴います。
ここでは、親知らずを抜くことで生じるリスクを3つ紹介します。
- 抜歯後に痛みや腫れが生じる
- 運動や食事などが制限される
- 感染症にかかる可能性がある
抜歯後、生活への影響を最小限にするためにも、事前に把握しておきましょう。
1.抜歯後に痛みやが腫れが生じる

抜歯後は、3日程度は痛みや腫れが出るケースが多く、長い場合は1週間程度続くこともあります。
その間は仕事や日常生活に影響が出る可能性があることを、あらかじめ想定しておきましょう。
抜歯後は痛み止めが処方されるので、痛みが出る前に服用しておくと安心です。
ただし、痛みが激しくなったり痛み止めが効かなかったりする場合は、トラブルが起きている可能性があるため、早めに歯科医に相談してください。
2.運動や食事などが制限される

親知らずを抜歯すると、一定期間は運動や食事などが自由にできなくなります。
施術後は血流が良くなり、痛みや腫れを引き起こしやすいので、安静にしている必要があるためです。
例えば、運動は抜歯後3日〜1週間は控えることが推奨されています。
食事は麻酔が切れるまで摂れず、当日はゼリーやお粥など、傷口に負担をかけないものがおすすめです。

親知らずを抜く場合は、仕事が落ち着いている時期や休日に予定がない時などにすると良いでしょう。
3.感染症にかかる可能性がある

親知らずを抜いた後は、抜歯した部分が細菌に感染することがあります。
傷口が汚れていたり、適切にケアできていなかったりして、細菌が入り込んでしまうことが原因のひとつです。
感染症にかかると、痛みや腫れ、膿が出るなどの症状が現れます。
抜歯後1週間程度は感染症のリスクが高いため、症状が落ち着いても処方された抗生剤をすべて飲み切ることが大切です。
親知らずの抜歯に関するよくある質問
1.親知らずが痛むけど、すぐに抜いてもらえるの?

痛みや腫れがある場合、すぐに抜歯できない可能性があります。
炎症があると、麻酔が効きにくいだけでなく、さらに症状が悪化する可能性があります。
腫れや痛みがある場合は、まずは抗生物質で症状を抑えてから抜歯するのが一般的です。
痛みがある場合は早めに歯科医院に相談してみてくださいね。
2.親知らずを抜くと痛みが出るのはなぜ?

抜歯で歯ぐきを切開したり骨を削ったりすると組織にダメージを受けるため、炎症による痛みが生じます。
痛みのピークは3日ほどで、1週間程度で落ち着くケースがほとんどです。
ただし、ドライソケットという状態になると、通常より強い痛みが続く場合があります。

抜歯した穴にできるはずのかさぶたがうまく形成されず、骨が露出して起こる状態です。
うがいのしすぎや喫煙が原因になることがあるので、抜歯後のケアは歯科医師の指示に従って正しく行いましょう。
3.親知らずは複数同時に抜いてもらえる?

親知らずは同時に2本〜4本など、複数同時に抜歯が可能です。
複数同時に抜くと、通院回数を減らせるので、忙しい方には魅力的でしょう。
ただし、複数抜歯する場合は、1本ずつ抜くよりも痛みや腫れが出やすい傾向があります。
また、斜めや横向きなど、生え方によっては同時に抜くのが難しいケースもあります。
まとめて抜くかどうかは、生え方・身体への負担を考えたうえで歯科医の方針とあわせて相談して決めましょう。
4.「親知らずを抜かなきゃよかった」と後悔する声を聞くのはなぜ?

親知らずを抜歯して後悔するのは、以下のケースが考えられます。
- 必要なかったのに抜いた
- 頬のしびれや口が開けにくいなどの合併症が出てしまった
- 想像以上に痛み・腫れが出た
抜かなくても良い親知らずを抜いてしまった場合、通院や抜歯後のケアなどに手間がかかってしまいます。
また、抜歯後は、出血や頬のしびれ、口が開けにくくなるなどの症状が出るケースも多いです。
親知らずの痛みには個人差があり、思っていた以上に痛みや腫れが出る可能性があり、その際に後悔する人もいるでしょう。

抜歯をして後悔しないためにも、抜く前に歯科医とよく相談することが大切です。
ただし、歯科医により診断は異なるため、治療方針に不安がある場合は、セカンドオピニオンを検討する選択肢もあります。
親知らずを抜くべきか迷ったら歯科医に相談しよう

親知らずは必ずしも抜かなければならないわけではなく、抜かなくても良いケースがあります。
真っ直ぐ正常に生えている場合や、完全に埋まって出てない場合は、そのままでも問題ありません。
一方、他の歯と違う生え方をしていたり、虫歯になったりしている場合は、抜歯が必要です。
抜歯することで口内トラブルを防ぎ、親知らずに隣接する歯の健康が守られます。

親知らずを抜くべきか自分で判断するのは難しいので、歯科医に状態を診てもらって判断すると安心です。
坂井歯科では、親知らずや周囲の歯を健康に保つための予防歯科に力を入れております。
親知らずの状態を定期的に確認することで、トラブルを未然に防げます。
痛みや違和感など、親知らずに関するお悩みは、お気軽にご相談ください。


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