
昨日の夜、歯を磨かずに寝ちゃった…今朝どうすればいい?

夜が大事なのは分かってるけど、寝かしつけで一緒に寝落ちしちゃう…

子どもが仕上げ磨きの前に寝てしまったら、起こすべき?
夕食・お風呂・宿題・寝かしつけと夜は手いっぱいで、気づいたら歯磨きを忘れてた!、という日は誰にでもあるものです。
寝ている間は唾液が減って細菌が増えやすいので、夜は磨いてから寝たいのが本音ですよね。
結論、磨けなかった日は翌朝ていねいに磨き、寝落ちしやすい人は夕食後やお風呂の時間に前倒しするのが現実的な対策です。
忘れた日が1回なら思い悩む必要はなく、問題になるのは「続くこと」です。
この記事では、一晩で口の中に起こることや翌朝の対処法、前倒しの工夫と子どもが先に寝た日の対応まで解説します。

自分を責めるより、今夜からの流れを一緒に見直していきましょう!
夜に歯磨きをしないで寝ると口の中で起こる3つのこと

昼間は唾液が汚れを洗い流してくれますが、寝ている間はその働きが弱まります。
一晩磨かなかっただけで虫歯や歯周病が急に進むわけではなく、問題は「その状態が続くこと」です。
歯垢(プラーク:細菌のかたまり)は毎日落とさないと固まって歯石に変わり、歯ブラシでは落とせなくなるためです。
夜を抜く日が続いたとき、口の中では次の3つが起こります。
- 寝ている間は唾液が減って細菌が増える
- 続くと虫歯が進みやすくなる
- 歯肉炎で歯ぐきが腫れやすく、朝の口臭も強くなる
何が起きるかが分かると、前倒しの工夫を続ける理由もはっきりしますよ。
1.寝ている間は唾液が減って細菌が増える

唾液には、汚れを洗い流し、細菌が出す酸を中和し、溶けかけた歯の表面を戻す働きがあります。
この歯の表面を戻す働きが「再石灰化」で、日中は食事のたびにくり返される仕組みです。
ところが、厚生労働省のe-ヘルスネットでも、「夜寝ている間は唾液の分泌が減少する」と説明されているとおり、夜はこの守りが弱まります。
そのため、寝る前に汚れが残っていると、細菌にとっては増えやすい状態になってしまうのです。
朝起きたときの口のネバつきや乾きは、その状態を体で感じているサインといえます。
夕食後に磨いていても、寝る前にお菓子をつまんだ日は同じことが起こるので、思い当たる方は振り返ってみてください。
(出典:ライフステージ別にみたむし歯の特徴|厚生労働省 e-ヘルスネット)

朝いちばんの口のネバつきが強い日は、前の晩の磨き残しが多かった合図です。鏡の前で思い出してみてくださいね!
2.続くと虫歯が進みやすくなる
夜に残った歯垢の中では細菌が糖を分解して酸を出し、歯の表面が溶ける時間(脱灰)が長くなります。
夜が抜ける日が続くほど、この溶ける時間が積み重なり、虫歯が進みやすい口の中になるというわけです。
とくに夜食やジュース、お酒のあとにそのまま寝る日は要注意で、お酒の日の対処は後半のよくある質問で紹介します。
乳歯や生えたての永久歯はエナメル質が薄く、大人より進みやすいため、お子さんは夜の歯磨きを抜かないようにしてください。
虫歯がどのくらいの速さで進むかは、関連記事「虫歯の進行速度はどれくらい?子どもは特に注意!速くなる原因と遅らせる方法を解説」もご覧ください。

3.歯肉炎で歯ぐきが腫れやすく、朝の口臭も強くなる

歯と歯ぐきの境目に歯垢が残った夜が続くと、歯ぐきが赤く腫れる歯肉炎が起こりやすくなります。
歯肉炎をそのままにすると、歯を支える骨にまで炎症が広がる歯周病に進む場合もあります。
朝の口臭は誰にでもありますが、夜に磨かないと細菌が増えた分だけ強くなりやすいのが実際のところです。
家族から「朝、口がにおう」と言われた経験がある方は、前の晩の歯磨きを振り返ってみてください。
固まった歯石は歯ブラシでは落とせず、歯科医院でのクリーニングでしか取れません。
夜を抜く日が続いていた自覚がある方は、検診のついでに歯石と磨き残しを見てもらうと安心です。

歯ぐきの縁が赤く丸みを帯びていたら歯肉炎のサインです。気づいた時点で早めに見せてくださいね!
歯磨きを忘れて寝た翌朝にすること

昨夜磨かずに寝てしまった方が、今朝すぐにできる手順を朝の流れに沿ってまとめました。
ポイントは、「起きてすぐ」と「朝食後」の2つのタイミングに分けて考えることです。
- 起きたらまず水で口をゆすぐ
- 朝食後はフロスと歯磨きをいつもより念入りに
今朝のうちに立て直せるので、順番どおりに試してみてください。
1. 起きたらまず水で口をゆすぐ
起きたらまず、水で口をゆすいで一晩で増えた細菌とネバつきを流してください。
そのまま朝食をとるより口の中がさっぱりして、食事も気持ちよく始められます。
ただし、うがいで歯垢そのものは落とせないため、「ゆすぐ=歯磨きの代わり」ではなく歯磨きまでのつなぎです。
起きてすぐコップ1杯の水を飲むと、寝ている間の口の乾きもやわらぎ、朝食も食べやすくなります。
もちろん、朝食前にしっかり磨く時間がある方は、そのまま磨いてもらって大丈夫です。

お子さんにも「起きたらまずぶくぶくうがい」を習慣にしてもらうと、忘れた日の立て直しが早くなりますよ!
2. 朝食後はフロスと歯磨きをいつもより念入りに

朝食後は、フロスで歯と歯の間の汚れを取り、続けて歯磨きをいつもより時間をかけて磨いてください。
e-ヘルスネットでも、歯ブラシでは磨けない歯と歯の間にはフロスや歯間ブラシが便利だと案内されています。
順番はどちらでもかまいませんが、先にフロス、あとに歯磨きがおすすめです。
フッ素(フッ化物)配合の歯磨き粉を使い、うがいは少量の水で1回にとどめましょう。
なお、フロスの通し方に関しては関連記事「フロスの使い方を歯科医が解説!1日1回で虫歯・口臭を防ぐコツと子どもへの使い方」を参考にしてください。

(出典:歯間部清掃(デンタルフロス・歯間ブラシ)|厚生労働省 e-ヘルスネット)

何度も磨いて取り返そうとするより、「今夜の歯磨きを忘れない」ことのほうが大事ですよ。いつもの力で、1本ずつていねいに当てていきましょう!
寝落ちしても困らない!夜の歯磨きは夕食後かお風呂で前倒し


毎晩ちゃんと磨こうと思うのに、気づいたら朝…
そんな方に共通しているのは、「寝る直前に磨こう」としていることです。
夜の歯磨きは、夕食後から寝るまでのどこかに前倒ししておけば、寝落ちしても抜けにくくなります。
前倒しの候補は、次の2つです。
- 夕食後に済ませる
- お風呂の時間に磨く
夕食後に磨く場合、「寝る何時間前まで」という決まりはなく、大事なのは寝る前に汚れを落とした状態にしておくことです。
日本小児歯科学会も、通常の食事なら早めに磨いて歯垢と細菌を取り除くほうが重要だという見解を、2014年に示しています。
「寝る直前でないと意味がない」と思い込む必要はありません。
お風呂の時間に磨くなら、手が空いていて鏡もあり、お子さんと一緒にいる時間なので忘れにくいでしょう。
湯船につかりながら磨けば時間もかけやすく、面倒くささも減ります。
ただし、歯ブラシは浴室に置きっぱなしにせず、洗面所で乾かしてください。
磨いたあとに夜食や甘い飲み物をとったら、寝る前にもう一度磨くのが原則で、飲んでよいものは後半のよくある質問で紹介します。
お子さんと一緒にお風呂で磨くご家庭なら、仕上げ磨きもここで済ませられますよ。
(出典:食後の歯みがきについて|日本小児歯科学会)

「寝落ちしそうだな」と感じた夜ほど、夕食のあとにさっと磨いておくのがおすすめです!
子どもが仕上げ磨きの前に寝てしまったときの対応

寝かしつけの途中でお子さんが先に寝てしまい、「起こしてでも磨くべきだった?」と迷う親御さんは多いものです。
迷わなくて済むように、翌朝の立て直しと、寝かしつけ前に済ませる流れの2つで解決します。
- 子どもが仕上げ磨きの前に寝た日は翌朝ていねいに
- 寝かしつけの前に親子でそろって磨く
毎晩の「起こす?起こさない?」で悩まなくなるので、参考の一つにしてみてください。
1. 子どもが仕上げ磨きの前に寝た日は翌朝ていねいに
ぐっすり寝てしまったお子さんを無理に起こすより、翌朝の仕上げ磨きをいつもよりていねいにするのが現実的です。
寝ぼけたまま磨こうとすると嫌がりやすく、かえって十分に磨けないこともあるからです。
翌朝は、歯と歯ぐきの境目と奥歯のかみ合わせの面を重点的に見てあげてください。
一方で、寝る前の甘い飲食物や授乳は虫歯のリスクを高めると、厚生労働省のe-ヘルスネットも注意を促しています。
そのため、寝落ちしそうな日ほど寝る前のジュースやお菓子を控えておくのが、親にできる予防の1つです。
寝てしまう日が続いているなら、次に紹介する「寝かしつけ前に済ませる」流れに変えてみましょう。

どうしても迷うときは、検診のときにお子さんの生活リズムごと相談してくださいね。ご家庭に合った流れを一緒に考えます!
2. 寝かしつけの前に親子でそろって磨く

寝かしつけで一緒に寝てしまう方は、「布団に入る前」を家族の歯磨きタイムにしてください。
お子さんの仕上げ磨きを済ませ、続けて親も自分の歯を磨いてから寝室へ向かう順番です。
仕上げ磨きが先に終わっていれば、お子さんが途中で寝てしまっても慌てずに済むのが利点です。
親が磨く姿を見せることは、子どもが歯磨きを当たり前の習慣として覚える手助けにもなります。

当院では、仕上げ磨きは小学生を卒業する「12歳まで」をおすすめしています。年齢が上がったらチェックだけでも続けてくださいね!
仕上げ磨きの体勢や年齢ごとの磨き方は、詳しくは関連記事「【仕上げ磨きのやり方】生後6カ月・3歳・6歳ごとの磨き方と5つの対処法とは?」で解説しています。

夜の歯磨きをしないことに関するよくある質問

夜の歯磨きについて、診療でよく聞かれる4つの質問に答えます。
夜に磨けなかった分は翌朝に磨けば帳消しになりますか?
帳消しにはなりません。
翌朝に磨いても、寝ている間に細菌が増えた時間そのものはなかったことにならないためです。
翌朝ていねいに磨くのは被害を最小限にするためで、「夜の代わり」にはならないと考えてください。
1日2回のうち、夜を抜くのがいちばん避けたい形です。
「朝に磨いたから」と夜を軽く見る日が続くと、歯石や歯肉炎につながりやすくなります。
翌朝の具体的な手順は、「歯磨きを忘れて寝た翌朝にすること」の章を参考にしてください。

「朝磨いたから帳消し」ではなく「朝で被害を小さくした」と考えると、今夜はきちんと磨こうという気持ちになりますよ。
夜の歯磨きのあと、寝るまでに飲んでいいものはありますか?
水や麦茶など、砂糖の入っていない飲み物なら飲んでかまいません。
一方で、ジュース・スポーツドリンク・乳酸菌飲料・加糖の紅茶やカフェオレなど、糖を含む飲み物は避けてください。
糖が細菌のえさになり、唾液の減った寝ている間に酸が作られ続けるためです。
どうしても甘いものや夜食をとったときは、寝る前にもう一度磨くか、少なくとも水で口をゆすいでおきましょう。
お子さんの寝る前のジュースや授乳も虫歯のリスクを高めるため、寝かしつけ前の飲み物は親子とも水か麦茶にしておくと安心です。
(出典:ライフステージ別にみたむし歯の特徴|厚生労働省 e-ヘルスネット)
夜にお酒を飲んで寝てしまいそうな日はどうすればいいですか?
飲み始める前か、飲み終わってすぐに磨いておくのがおすすめです。
お酒を飲むと眠くなって寝落ちしやすく、おつまみやお酒の糖分が口に残ったまま寝てしまいがちだからです。
お酒で体の水分が失われると口も乾きやすく、寝ている間の唾液の減少と重なって細菌が増えやすい夜になります。
帰宅後すぐか飲み終わりに磨いておき、そのあとは水にしておくのが無理のない流れです。
外で飲む日は、帰りの電車で水を飲んでおき、帰宅したらまず洗面所へ向かう習慣にしてみてください。
磨けずに寝てしまった翌朝は、忘れた日と同じ手順で立て直しましょう。

飲み会が続く時期ほど、夜の歯磨きが抜けやすくなります。飲む前に磨いてしまう習慣が、いちばん楽ですよ!
寝落ちしそうな夜はうがいや歯磨きシートだけでもいいですか?
歯磨きの代わりにはなりません。
うがいや歯磨きシートで落とせるのは歯の表面の汚れまでで、歯と歯の間や歯ぐきの境目の歯垢は落とせないためです。
どうしても磨けない夜の応急策として、「何もしないよりはまし」という位置づけで使ってください。
お子さんが寝落ちした日に、歯磨きシートで前歯の表面だけでも拭いておく使い方も同じ考え方です。
翌朝は、忘れた日と同じ手順でしっかり磨きましょう。
ただし、応急策が「毎晩」になっているなら、夕食後やお風呂の時間に前倒しする流れに切り替えてください。
【まとめ】夜の歯磨きは夕食後やお風呂で前倒しして毎晩続けよう

夜の歯磨きは、寝る直前ではなく夕食後から寝かしつけ前のどこかで済ませておくのが、寝落ちしても抜けないいちばんの方法です。
磨けなかった日は翌朝ていねいに磨いて立て直し、その夜から前倒しの流れに戻しましょう。
夜の歯磨きを抜く日が続いていた自覚がある方やお子さんの歯が気になる方は、検診とクリーニングで歯石と磨き残しを確認しておくと安心です。
坂井歯科医院では、検診のときに磨き残しの場所を見て、ご家庭に合った夜の歯磨きの流れをお伝えしています。

当院では親子の検診と子どもの歯磨き講習も行っています。夜の歯磨きの流れも、一緒に考えましょう!
