
歯周病はうつるって本当?

家族と同じ食器を使うと歯周病菌はうつるのかな?

歯ぐきの出血や口臭は歯周病のサイン?
自分が歯周病だと、家族にうつしてしまうのではと不安になっていませんか?
歯周病そのものがうつるのではなく、原因になる菌が唾液を介して家族に広がるというのが正確な理解です。
菌が口に入っても、そのまま歯周病になるとは限りません。
本記事では、菌がうつるとされる3つの経路と、家族を守る予防方法5選を解説します。
読み終えるころには、どの習慣を見直せばいいかがはっきりし、家族の口の健康を守るために動きやすくなりますよ。
歯周病はうつる?菌はうつるが、必ず発症するわけではない

歯周病は病気そのものがうつるのではなく、原因になる菌が唾液を介してうつると考えられています。
歯周病は、口の中の細菌によって歯ぐきや歯を支える骨に炎症が起きる病気です。
ただし、菌が口に入っただけでは発症しません。
菌が歯垢(プラーク:細菌のかたまり)の中で増え、歯ぐきに炎症が起きて初めて歯周病へと進みます。
歯垢は1mgの中に約10億個もの細菌がすみつくと言われ、たまるほど歯ぐきへの負担が大きくなります。
つまり、菌が入る機会をゼロにするより、入った菌を増やさない口内環境を保つほうが現実的です。
毎日の歯磨きに歯間ケアを足すだけでも、発症しにくい状態を維持できますよ。

唾液が直接触れやすい習慣を見直しながら、毎日の歯磨きや歯間ケアを続けていきましょう!
(出典:歯周病とは?|日本臨床歯周病学会)
歯周病がうつる3つの経路

日常生活の中には、歯周病菌がうつる可能性のある行動が3つあります。
いずれも唾液が直接触れる場面という共通点があります。
- 食器の共有
- 親から子どもへの口移しや飲み物の回し飲み
- 家族間でのキス
どれも家庭で毎日のように起こる場面ですが、神経質になりすぎる必要はありません。
どこまで気をつければいいのかを、順番に見ていきましょう。

避けるべき習慣と、気にしなくていい習慣を切り分けていきますね!
1.食器の共有

同じ箸やスプーン、コップを使うと、唾液を介して歯周病菌が口の中に入ることがあります。
とくに大皿料理を直箸で取りわける場面は、ほかの人の唾液が口に触れやすいので気になる方も多いはずです。
一度の共有で歯周病になるわけではありませんが、毎日くり返せば菌に触れる機会は増えていきます。
気になるときは、取り箸を使う、コップをわけるといった工夫で十分です。
食器を完全に分けるより、まずは自分の口の中を整えるほうが効果は大きくなります。

家族全員でケアを見直すほうが、食器を分けるより確実ですよ!
2.親から子どもへの口移しや飲み物の回し飲み

食べ物の口移しや同じ飲み物の回し飲みは、親の唾液が子どもの口に触れやすい行動です。
ただし日本口腔衛生学会は、食器の共有を避けて感染を防ぐことを気にしすぎる必要はないとの見解を示しています。
生後4か月の時点で、すでに親の口内細菌が子どもへ伝わっていると確認されているためです。
これはむし歯の原因菌についての見解ですが、唾液を介して菌が伝わる点は歯周病菌も変わりません。
子どもの歯ぐきは歯と歯ぐきの間の溝が浅く、歯周病菌が住みつきにくいとも考えられています。
食器を分けることに神経を使うより、大人が自分の口の中を健康に保つほうが子どもの歯を守れます。

子育て中こそ、親御さん自身の歯科検診を後回しにしないでくださいね!
(出典:乳幼児期における親との食器共有について|日本口腔衛生学会)
3.家族間でのキス

家族間のキスでも、唾液が直接触れると歯周病菌がうつることがあります。
とくに口元へのキスは、菌が移動しやすい場面と考えられています。
とはいえ、スキンシップを無理に減らす必要はありません。
歯ぐきが赤く腫れている時期は口の中の菌が増えているサインなので、その間だけ控えれば十分です。
腫れや出血が続くなら、スキンシップを我慢するより先に歯科医院で診てもらいましょう。

我慢を続けるより、原因になっている炎症を治すほうが家族のためになりますよ!
歯周病がうつるのを予防する5つの方法

家族にうつるのを防ぐには、自分の口の中の菌を減らすことがいちばんの対策になります。
菌が増えにくい状態を保てば、唾液が触れても相手にうつる菌の量を抑えられます。
意識したいポイントは、以下の5つです。
- 毎日の歯磨きと歯間ケアで歯垢の蓄積を防ぐ
- 口の乾燥を防いで唾液の働きを保つ
- 喫煙習慣をやめて歯ぐきの抵抗力を守る
- 甘いもののだらだら食べをやめて歯垢をためにくくする
- 定期的に歯科医院でクリーニングする
どれも今日から始められる習慣なので、続けられそうなものから取り入れてみてください。

5つ全部でなくて大丈夫!1つ続けるだけでも口の中は変わりますよ!
1.毎日の歯磨きと歯間ケアで歯垢の蓄積を防ぐ

歯周病菌が増えるのを防ぐ基本は、毎日の歯磨きと歯間ケアです。
歯周病菌は歯垢の中で増えるため、歯垢を残さないことがそのまま予防になります。
ただし歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れは落としきれません。
1日1回はフロスや歯間ブラシを使い、歯ブラシが届かない場所の歯垢をかき出しましょう。
夜は唾液が減って菌が増えやすいため、寝る前がいちばん時間をかけたいタイミングです。

菌が入ることを気にするより、増えにくい口の中をつくることが先です!
2.口の乾燥を防いで唾液の働きを保つ

口が乾くと唾液の働きが弱まり、細菌や汚れが口の中に残りやすくなります。
唾液には汚れを洗い流し、細菌の増殖を抑える役割があります。
乾いた状態が続けば、その力が発揮されません。
口呼吸の習慣や水分不足、緊張が続く時間は、口が乾く代表的な原因です。
1時間に1回コップ半分ほどの水を飲む、鼻で呼吸を意識するだけでも乾燥は防げます。

こまめな水分補給と鼻呼吸で、唾液の力を借りていきましょう!
3.喫煙習慣をやめて歯ぐきの抵抗力を守る

タバコを吸うと血管が縮んで歯ぐきの血流が減り、細菌への抵抗力が下がると報告されています。
そのため喫煙習慣がある人は歯周病にかかりやすく、治療の効果も出にくい傾向があります。
さらに血流が減ると、炎症が起きていても腫れや出血が表に出にくくなります。
気づかないまま進行し、家族に菌をうつす期間が長くなりやすい点も見逃せません。
禁煙すると歯ぐきの状態は回復に向かうので、本数を減らすところからでも始めてみてください。

禁煙が難しければ、本数と喫煙する場所を決めるところからでもかまいません!
(出典:喫煙と歯周病の関係|e-ヘルスネット(厚生労働省))
4.甘いもののだらだら食べをやめて歯垢をためにくくする

甘いものを食べるときは、時間と回数を決めましょう。
口の中の細菌は糖をエサにしてねばつく物質をつくり、歯垢を増やします。
間食の回数が多いほど歯垢はたまり続け、歯ぐきの炎症も起こりやすくなります。
だらだら食べをやめるだけでも、歯垢がたまり続ける時間を短くできます。
おやつは時間を決めて楽しみ、食べたあとに水で口をすすぐ習慣をつけてください。

量より「口の中に糖がある時間」を減らすのがコツですよ!
5.定期的に歯科医院でクリーニングする

毎日の歯磨きに加えて、定期的な歯石除去を受けると歯周病を予防しやすくなります。
歯石は歯垢が硬くなったもので、一度ついてしまうと歯ブラシでは落とせません。
表面がざらついているため新しい歯垢が付きやすく、菌が増える足場になります。
通う目安は3〜6か月に1回です。
痛みがなくても、歯ぐきの内側で起きている炎症を早い段階で見つけられます。

見た目はきれいでも、歯ぐきの内側に汚れが残っていることは珍しくありません…
家族にうつす前に気づきたい歯周病の自覚症状6選

歯周病は初期のうちは痛みが出にくく、気づかないまま家族に菌をうつしてしまうことがあります。
自分の口の中に菌が増えているサインが出ていないか、先に確認しておきましょう。
とくに見逃したくないサインは、以下の6つです。
- 歯磨きのたびに歯ぐきから血が出る
- 朝起きたときに口の中がねばつく
- 以前より口臭が気になる
- 歯ぐきが赤く腫れてやわらかく感じる
- 歯ぐきが下がって歯が長く見える
- 歯がグラつく感じがある
ひとつでも心当たりがあれば、家族にうつる前に歯科医院で相談してみてください。

毎日の歯磨きや食事のときに、口の中の変化を確かめてみましょう!
なお、症状が出ていない段階からもっと細かく確かめたい方に向けて、関連記事「歯周病チェックリスト10項目|自覚症状がなくても確認するべきポイント」で10項目のセルフチェックを用意しています。

1.歯磨きのたびに歯ぐきから血が出る

歯ぐきに炎症があると、歯ブラシの毛先が軽く当たっただけでも出血します。
強くこすったときだけでなく、やさしく磨いても血がにじむなら注意が必要です。
毎回同じ場所から血が出るのは、炎症が慢性化しているサインと考えられます。
血が出るからと磨くのをやめると、かえって歯垢がたまって悪化します。
やわらかい歯ブラシに替えて、その部分もていねいに磨いてみてください。

放置すると痛みがないまま炎症が進み、歯を支える骨まで影響がおよぶことがあります…
なお、出血の原因を詳しく知りたい方は、関連記事「歯茎から血が出る5つの原因|受診する6つの目安や対処法も徹底解説」を参考にしてください。

2.朝起きたときに口の中がねばつく

朝起きたときのねばつきは、寝ている間に細菌が増えたサインです。
歯ぐきに炎症があると歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)が深くなり、細菌がたまりやすくなります。
就寝中は唾液が減って誰でも菌が増えますが、溝が深いほど朝の不快感は強く出ます。
うがいをしてもすぐ元に戻る場合は、口の中に菌の住みかができている状態です。
痛みがないからと様子を見ず、一度歯ぐきの状態を確認してもらいましょう。
3.以前より口臭が気になる

歯磨きをしても口のにおいが残るときは、歯周病が関係しているかもしれません。
歯周病菌はタンパク質を分解する際に、硫化水素(卵が腐ったようなにおいの成分)を出します。
歯ぐきの炎症が続くかぎりにおいは出続けるため、ていねいに磨いても口臭が消えません。
マスクの中でにおいが気になる、家族から指摘されたという変化は分かりやすい目安です。
セルフケアで変わらないなら、原因は歯ぐきの中にあると考えて受診してください。

口臭が強いときは、口の中の菌が増えているサインでもあります…
なお、口臭のタイプ別の原因は、関連記事「口臭の4つの原因と対策を徹底解説|臭いタイプ別の見分け方と正しいケア方法とは?」で解説しています。

4.歯ぐきが赤く腫れてやわらかく感じる

歯ぐきの赤みと腫れは、炎症が起きている分かりやすいサインです。
健康な歯ぐきは引き締まった薄いピンク色ですが、歯垢がたまると赤みが増して腫れます。
鏡で見て歯と歯の間の歯ぐきがぷっくり丸くふくらんで見えるなら、炎症が進んでいるかもしれません。
指で軽く押したときに、跳ね返るような弾力が弱くなっていないかも確かめてみてください。
この段階で歯垢を落とせれば、歯ぐきは引き締まった状態に戻せます。

赤みや腫れのうちに対処できれば、次に紹介する歯ぐきの下がりも防げますよ!
5.歯ぐきが下がって歯が長く見える

歯が前より長く見えるのは、歯ぐきが下がってきたサインです。
炎症が続くと、歯ぐきの中にある歯を支える骨(歯槽骨)が少しずつ溶けていきます。
骨が減った分だけ歯ぐきの位置も下がるため、歯が長く見えるようになります。
一度下がった歯ぐきや溶けた骨は、自然には元に戻りません。
冷たいものがしみるようになったら、歯の根元が露出してきた合図です。

早い段階で治療を受ければ、それ以上の進行を食い止められます!
6.歯がグラつく感じがある

指で軽く触れて歯が動く、噛むと浮くような違和感がある場合は、歯周病がかなり進んでいます。
歯を支える骨が大きく失われ、歯を固定する力が弱くなっている状態です。
硬いものが噛みにくい、噛むときに力を入れづらいという変化も同じサインです。
この段階でも、早く治療を始めれば歯を残せる見込みはあります。
自己判断で様子を見る時間が、そのまま歯を失うリスクにつながります。

迷っている時間がいちばんもったいないので、早めに受診してくださいね!
歯周病はうつるのか?に関するよくある質問

ここでは、患者さまからよく寄せられる3つの質問にお答えします。
接触の時間や確率、妊娠中の影響など、家庭で気になりやすい点をまとめました。
不安がひとつでも減れば、今日からの予防に集中できますよ。
Q1.歯周病の人とどのくらい接触したらうつりますか?
「何分」「何回」といった明確な基準はありません。
うつるかどうかは接触の長さより、くり返し触れる機会があるか、受け取る側の口の中が清潔かで変わります。
歯垢が少なく歯ぐきが健康なら、菌が入っても住みつきにくい状態です。
反対に磨き残しが多いと、少ない接触でも菌が定着しやすくなります。
接触の回数を数えるより、口の中を整えるほうが確実な対策になります。

家族で一緒に歯磨きの習慣を見直すのがいちばん効率的ですよ!
Q2.歯周病のうつる確率はどれくらいですか?
うつる確率を、具体的な数値で示すことはできません。
同じように菌に触れても発症する人としない人がいるのは、免疫の状態や生活習慣で菌の定着しやすさが変わるためです。
糖尿病や喫煙、強いストレスは、歯ぐきの抵抗力を下げると報告されています。
当てはまる方は、同じ環境でも発症しやすいと考えて予防に取り組んでください。
確率を気にするより、自分側のリスクを減らすほうが結果につながります。

持病がある方は、内科の治療と歯科でのケアを並行するのがおすすめです!
Q3.妊娠中は歯周病がうつりやすいですか?
うつりやすさが変わるわけではありませんが、歯ぐきのトラブルは起こりやすくなります。
妊娠中は女性ホルモンが増え、もともと口の中にいる一部の歯周病菌が増えやすくなるためです。
歯ぐきが腫れて出血しやすくなる状態は、妊娠性歯肉炎と呼ばれます。
つわりで歯磨きがつらい時期は、うがいや小さめの歯ブラシで無理のない範囲を保ちましょう。
安定期に入ったら、歯科検診とクリーニングで口の中を整えておくと産後が過ごしやすくなります。

坂井歯科では妊娠中の方の診療も行っていますので、気になる症状があれば早めにご相談ください!
なお、妊娠中の歯の痛みが気になる方は、関連記事「妊娠中に歯が痛くなる5つの原因!起こりやすい歯のトラブルや治療前の対処法も紹介」もあわせてご覧ください。

【まとめ】歯周病はうつる?家族を守るのは毎日の予防

歯周病は、原因になる菌が唾液を介して家族に広がることがあります。
ただし菌が口に入っただけで、必ず発症するわけではありません。
毎日の歯磨きと歯間ケア、体調や生活習慣によって、発症のしやすさは変わります。
食器の共有やキスを我慢するより、歯垢をためない習慣と定期的なクリーニングを続けるほうが家族を守れます。
歯ぐきの出血やねばつき、口臭や腫れに心当たりはありませんか?
歯ぐきの下がりやグラつきも含めて当てはまるものがあれば、すでに歯周病が進んでいるかもしれません。

「うつるかもしれない」と不安に思うより、「今日から予防する」に切り替えていきましょう!
歯周病がうつるのではと気になる方、すでに症状がある方は、坂井歯科までお気軽にご相談ください。
