
歯磨きって、結局1日何回が正解なの?

夜は寝落ちして磨けない日があるけど、大丈夫かな…

しっかり磨いているのに、歯ぐきが下がってきた気がする
サイトによって「3回が理想」「2回で十分」と答えが違い、正解が分からなくなった方は多いのではないでしょうか。
結論、歯磨きの回数は就寝前を含めて1日2回が基本です。
日本口腔衛生学会など4つの学会が、合同で示している推奨にもとづいています。
ただし、差がつくのは回数そのものより、「夜は丁寧に磨くこと」と「力を入れすぎないこと」です。
この記事では、2回で足りる理由と磨けない日の対処、やりすぎのサイン、子どもの回数と仕上げ磨きの目安まで解説します。

2回に届いていない方も、磨きすぎが心配な方も、家族みんなで無理なく続ける方法を一緒に見ていきましょう!
歯磨きの回数は1日2回が基本

歯磨きは、就寝前を含めて1日2回、フッ素入りの歯磨き粉で磨くのが基本です。
日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会が、2023年1月に合同で示した推奨です。
「3回が理想」「1回で十分」と情報が割れて迷っていた方は、今後はこの基準を軸にしてみてください。
毎食後3回磨くのは「できれば理想」ですが、必須ではありません。

もちろん、磨ける方はそのまま続けてくださいね。
ただし、回数を増やせば増やすほど守れるわけではないことは知っておいてください。
磨き方によっては歯や歯ぐきを傷めることがあるので、後半の「やりすぎのサイン」にも目を通してください。
(出典:フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法|日本口腔衛生学会ほか4学会合同)

「3回できなかった…」と落ち込む患者さんは多いのですが、就寝前を含めた2回を毎日続けるほうがずっと大切ですよ!
歯磨きが1日1回だと意味ない?夜だけ・朝だけでは足りない理由

歯磨きが1日1回だけでは、夜だけでも朝だけでも、4学会が推奨する「就寝前を含めて1日2回」に届きません。
- 1日1回の歯磨きがよくない理由
- 昼に磨けない日は口をゆすぐ・キシリトールガムをかむ
職場や学校で昼に磨けない方向けの工夫もまとめたので、毎日の習慣と照らし合わせてみてください。
1日1回の歯磨きがよくない理由

1日1回の歯磨きでは、歯垢(プラーク:細菌のかたまり)がたまる時間が長くなりすぎます。
歯垢は磨いて数時間でまたつき始め、時間がたつほど厚くなって落としにくくなるのが特徴です。
とくに寝ている間は唾液が大きく減り、口の中を洗い流す力や、細菌が出す酸を中和する力が弱まります。

そのため、夜を抜いて朝だけ磨くと細菌が一晩中増えやすく、虫歯や歯ぐきの腫れにつながりやすくなります。
反対に夜だけ磨く場合も、寝ている間に増えた細菌が朝まで残るため、起きたあとの歯磨きが必要です。
夜の歯磨きを抜く日が続くと歯肉炎が起こりやすく、歯周病に進む場合もあります。
歯周病になりやすい生活習慣は、関連記事「歯周病になりやすい人の特徴9選!セルフチェックと今日からできる自宅ケアを解説」でセルフチェックできます。


「1回でもしっかり磨けば大丈夫」と考えている方は意外と多いんです。夜と朝の2回を、毎日の習慣にしていきましょう!
昼に磨けない日は口をゆすぐ・キシリトールガムをかむ

職場や学校で昼に磨けない日は、食後に水で口をゆすいでおくのがおすすめです。
食べかすや糖分が口の中に残る時間を短くでき、細菌のエサを減らすことにつながります。
もう1つ取り入れやすいのが、食後にキシリトール入りのガムをかむ方法です。
キシリトールは虫歯菌が酸を作る材料になりにくい甘味料で、かむことで出てくる唾液が口の中を洗い流す助けにもなります。
ガムは、砂糖を含まないキシリトール100%のものを選んでください。
ただし、うがいやガムで歯垢そのものは落とせないので、あくまで昼の歯磨きを補う工夫という位置づけです。
小さなお子さんにガムを使う場合は、飲み込まずにかめる年齢になってからにするか、歯磨きタブレットを活用しましょう。

昼に磨けない日があっても大丈夫です。そのぶん、夜の1回をいつもより丁寧に磨いてあげてくださいね!
歯磨きのやりすぎのサインとは?回数より避けたい「強さ」と「長さ」


もしかして自分は磨きすぎなのかも…
そんな心配をされる方は、毎食後きちんと磨いている真面目な方に多いです。
考えるべきは「回数」ではなく「強さ」と「長さ」です。
- 歯磨きの回数だけで「磨きすぎ」とは言い切れない
- 力を入れすぎると歯ぐきが下がり知覚過敏につながる
- 同じ場所を長くこすると歯の根元がすり減る
- やりすぎのサインをセルフチェックする
しみる・歯ぐきが下がってきたと感じる方は、当てはまっていないか確かめてみてください。
歯磨きの回数だけで「磨きすぎ」とは言い切れない
歯磨きの回数について、「1日〇回まで」という明確な上限を示した基準はありません。
そのため、1日3回以上磨くことだけを理由に「磨きすぎ」とは言い切れません。
ただし回数が多い場合、強い力で磨いたり必要以上に長い時間磨いたりすると、歯や歯ぐきを傷める可能性があります。
回数が気になる方は、次に解説する「強さ」と「長さ」を見直してみてください。

「何回まで」と数えるより、磨いたあとに歯ぐきがヒリヒリしないか、毛先がすぐ開かないかを見てあげてください。
力を入れすぎると歯ぐきが下がり知覚過敏につながる

ゴシゴシと強く磨くくせが続くと、歯ぐきが下がって歯の根元がしみることがあります。
歯の根元は表面のエナメル質におおわれておらず、露出すると冷たい水や風がしみやすくなるためです。
これがいわゆる知覚過敏で、「しっかり磨いているのに前歯の根元がしみる」という方に多く見られます。
もっとも歯ぐきが下がる原因は加齢や歯周病、かみ合わせなども関わるため、歯磨きだけとは限りません。
力の目安は歯ブラシの毛先が広がらない程度で、ペンを持つように軽く握る「ペングリップ」に変えると自然と力が抜けます。
フロスも力を入れすぎると歯ぐきを傷めることがあります。
頻度の目安は関連記事「フロスは1日何回がベスト?頻度の目安とやりすぎで歯ぐきが下がるリスクを解説」で確認してください。

同じ場所を長くこすると歯の根元がすり減る

気になる場所を何分も往復させていると、歯の根元が削れてくぼむことがあります。
歯の根元は表面よりやわらかく、繰り返しの摩擦に弱い部分だからです。
くぼみができると汚れがたまりやすくなり、しみる原因にもなります。
硬めの毛の歯ブラシや研磨剤の強い歯磨き粉を使っていると、さらに起きやすくなります。
時間の基準は「何分」ではなく、全部の歯を一巡したら終わることです。

同じ場所を何十回もこするより、1本ずつ順番に当てていくほうが、短い時間でも磨き残しが減りますよ。
やりすぎのサインをセルフチェックする

次の4つのうち1つでも当てはまれば、磨き方を見直すサインです。
- 歯ブラシが1か月もたずに毛先が開く
- 冷たい水や風が歯にしみる
- 歯ぐきの縁が下がって、歯が長く見える
- 歯ぐきに白っぽい傷やただれがある
毛先が早く開くのは力が強すぎる証拠で、いちばん分かりやすいサインです。
当てはまった方は、「やわらかめの歯ブラシに替える」「ペングリップに持ち替える」「力を抜く」の3つから始めてください。
とはいえ、力加減が合っているかは自分では判断しにくいものです。
検診のときに磨き方を見てもらうのが、いちばん確実な方法です。

歯ブラシの毛先の開き方を見れば、力の入れ方はすぐ分かります。検診のときに一緒に確認しましょう!
歯磨きは1回何分・いつ磨く?回数とセットで守りたい時間とタイミング

1日2回を守っていても、1回が30秒だったりタイミングがずれていたりすると、効果は落ちてしまいます。
回数とセットで押さえたいのは、1回の長さと磨くタイミングの2つです。
- 1回の時間は「全部の歯に毛先を当て終わる長さ」が目安
- タイミングは「食後すぐに磨く」が基本
- 朝食前と朝食後のどちらか1回なら「朝食後」
朝のバタバタの中でもどこを優先すればいいかが分かりますよ。
1回の時間は「全部の歯に毛先を当て終わる長さ」が目安

歯磨きの時間は「何分」で決めるより、全部の歯に毛先を当て終わるまでを1回の目安にしてください。
歯は上下で28本前後あり、1本ずつ表・裏・かむ面に毛先を当てていくと、それなりの時間がかかります。
朝の30秒で終わらせている方は、回数には数えられても磨き残しが多い状態です。
反対に、10分かけていても同じ場所ばかりこすっている方は、時間のわりに磨けていません。
「右上の奥から前歯・左上・下の順」と毎回同じ順番で回ると、磨き忘れが減って時間も安定します。

鏡の前で「右上の奥から」と順番を声に出すと、お子さんも同じ順番で覚えてくれますよ!
タイミングは「食後すぐに磨く」が基本
普段の食事なら、食後すぐに磨いて問題ないとされています。
「食後30分は待つ」という説を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、それは酸性の炭酸飲料に歯をひたした実験がもとになっています。
酸で歯の表面が一時的にやわらかくなるのは事実ですが、これは酸蝕症(酸で歯が溶ける状態)の話で虫歯とは別です。
日本小児歯科学会も、「通常の食事なら早めに磨いて歯垢と細菌を取り除くほうが重要だ」と2014年に見解を示しています。
炭酸飲料やかんきつ類など酸の強いものをとった直後だけは、水で口をゆすいでから少し時間をおくと安心です。
とはいえ、待っている間に磨き忘れるほうが避けたいので、基本は「食べたら磨く」で構いません。
(出典:食後の歯みがきについて|日本小児歯科学会)
朝食前と朝食後のどちらか1回なら「朝食後」

朝に1回しか磨けないなら、当院では朝食後をおすすめしています。
食べたあとの汚れと糖分を落としてから家を出るほうが、日中の虫歯リスクを下げやすいからです。
日本小児歯科学会も食後は早めに磨いて歯垢と細菌を取り除くことが重要としており、朝食後の歯磨きはこの考えに沿っています。
一方で、起きた直後の口の中は寝ている間に増えた細菌が多く、そのまま朝食をとるのも気持ちのよいものではありません。
そのため理想は「起きたらうがいか軽く磨く→朝食→しっかり磨く」の流れで、朝食前は水で口をゆすぐだけでも構いません。
お子さんの登園・登校前は、朝食後に家族そろって磨く時間を決めておくと、声かけの手間も1回で済みます。
子どもの歯磨きは1日何回が正解?年齢別の仕上げ磨きと歯磨き粉の目安

お子さんの歯磨きも、基本は大人と同じ就寝前を含めて1日2回です。
年齢で変わるのは歯磨きの回数ではなく、仕上げ磨きの回数と歯磨き粉の量のほうです。
- 年齢別の回数・仕上げ磨き・歯磨き粉の量を一覧表で確認
- 歯が生えてから2歳までは親が1日2回磨く
- 3〜5歳は自分で磨く練習と毎回の仕上げ磨きをセットにする
- 6歳以上(小学生〜)は自分で1日2回、仕上げ磨きは夜1回
家族全員分の朝晩の段取りが決められるので、お子さんの年齢の行から確認してみてください。
年齢別の回数・仕上げ磨き・歯磨き粉の量を一覧表で確認
どの年齢も回数は1日2回で同じで、違うのは仕上げ磨きと歯磨き粉の量です。
| 年齢 | 回数 | 仕上げ磨き | 歯磨き粉の量 | フッ素濃度 |
|---|---|---|---|---|
| 歯が生えてから2歳まで | 1日2回 | 親が磨く | 米粒程度(1〜2mm) | 1000ppmF |
| 3〜5歳 | 1日2回 | 毎回(夜は必ず) | グリーンピース程度(5mm) | 1000ppmF |
| 6歳以上(小学生〜) | 1日2回 | 夜1回のチェック磨き | 歯ブラシ全体(1.5〜2cm) | 1500ppmF |
回数・量・濃度は4学会合同の推奨の数字で、仕上げ磨きの列は当院の目安です。
うがいは3歳以上なら少量の水で1回だけにして、フッ素を残します。
2歳までは吐き出せないので、ティッシュで軽く拭き取るだけで構いません。

当院では子どもの歯磨き講習も行っていますので、遠慮なく聞いてくださいね!
歯が生えてから2歳までは親が1日2回磨く

この時期は本人が磨けないので、親が磨いてあげましょう。
目安は1日2回で、歯磨き粉は米粒程度(1〜2mm)のフッ素濃度1000ppmFを使います。
朝は短くても構わないので、寝る前の授乳や食事のあとに必ず1回入れるのが基本です。
歯が1〜2本のうちは、回数そのものより習慣づけが目的になります。
まだ歯が生えていない間は、ガーゼで口を触る練習から始めてみてください。
3〜5歳は自分で磨く練習と毎回の仕上げ磨きをセットにする

3〜5歳は自分で磨く練習をさせつつ、仕上げ磨きは毎回が基本です。
乳歯が生えそろって磨く面が増える一方、手先はまだ細かく動かせないため、磨き残しがいちばん多い年齢だからです。
歯磨き粉はグリーンピース程度(5mm)の1000ppmFを使い、うがいは少量の水で1回にとどめます。
忙しい日でも夜だけは必ず親が仕上げると決めておくと、磨き残しを抑えやすくなります。
子どもが嫌がる日は「朝は本人だけ、夜は必ず仕上げ磨き」と割り切って構いません。
仕上げ磨きの体勢や嫌がるときの対処は関連記事「【仕上げ磨きのやり方】生後6カ月・3歳・6歳ごとの磨き方と5つの対処法とは?」にまとめています。

6歳以上(小学生〜)は自分で1日2回、仕上げ磨きは夜1回

小学生になったら自分で1日2回磨かせ、親の仕上げ磨きは夜1回のチェックに切り替えてください。
6歳ごろに最初の永久歯(6歳臼歯)が奥に生え、その後も生え替わりが続くため、奥に磨き残しが出やすい時期だからです。
歯磨き粉は歯ブラシ全体(1.5〜2cm)にのせ、フッ素濃度は大人と同じ1500ppmFに上げます。
朝は本人に任せ、夜だけ親がチェックしながら仕上げ磨きをする形が、無理なく続けやすい方法です。

仕上げ磨きをいつまで続けるかに決まった年齢はありませんが、坂井歯科医院では小学生を卒業する「12歳まで」を推奨しています。
自分で磨く力を育てるコツは、関連記事「小学生の歯磨きのコツとは?正しい磨き方や習慣化する3つのポイントを解説」で解説しています。

歯磨きの回数に関するよくある質問

日本人は平均で1日何回歯を磨いていますか?
1日2回以上磨く人が約8割で、2回が最も多い回数です。
厚生労働省の令和6年(2024年)歯科疾患実態調査では、毎日磨く人が97.2%、毎日2回以上磨く人が82.0%でした。
毎日磨く人の内訳は1日1回が15.7%・2回が50.5%・3回以上が31.1%で、2回以上の割合は年々増えています。
つまり、1日1回で済ませている人はいまや6人に1人ほどの少数派ということです。
「みんなも1回くらいでしょ」と思っていた方は、これを機に考え直してみてくださいね。
歯磨きを忘れて寝てしまった日はどうすればいいですか?
翌朝にいつもより丁寧に磨けば、思い悩む必要はありません。
一晩で虫歯や歯周病が急に進むわけではなく、問題になるのは忘れる日が続くことです。
歯垢は毎日落とさないと固まって歯石に変わり、歯ブラシでは落とせなくなります。
お子さんの寝かしつけで一緒に寝てしまう方は、「寝る直前」にこだわらず夕食後や入浴中に前倒しで磨いておくのが現実的です。

寝落ちした翌朝に自分を責める必要はありませんよ。「続けて抜かない」ことだけ意識してもらえれば大丈夫です!
歯磨きとフロスはどちらを先にすればいいですか?
どちらでも構いませんが、迷うならフロスを先に通してから歯磨きをするのがおすすめです。
先に歯と歯の間の汚れを取っておくと、歯磨き粉のフッ素がすき間まで届きやすくなるためです。
ただし順番の違いより、フロスを毎日1回使えているかを優先してください。
歯磨きのあとに通す習慣がすでにある方は、無理に順番を入れ替える必要はありません。
フロスの通し方や子どもへの使い方は、関連記事「フロスの使い方を歯科医が解説!1日1回で虫歯・口臭を防ぐコツと子どもへの使い方」で確認できます。

【まとめ】歯磨きは就寝前を含めて1日2回!家族の習慣にして歯を守ろう

歯磨きは「就寝前を含めて1日2回」を基準にして、習慣化するのが大切です。
ただし磨き残しや力加減は自分では判断しにくいので、3〜6か月ごとの検診で歯科衛生士に見てもらうとよいでしょう。
坂井歯科医院では、検診のときに歯磨きのくせを見て、正しく続けやすくするコツをお伝えしています。

お子さんの歯磨きについても一緒に相談できるので、家族そろって気軽にお越しくださいね!
